心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

注意義務と過失

私はダメダメ心理士日本代表である。

心理学だけでもダメダメなので、ましてや他の分野のダメダメぶりは今更説明する必要もないと思われます。

 

しかし、心理士として給料をもらっていく道を選んだ以上、勉強して公認心理師試験に受からなければなりません( ー`дー´)キリッ。

 

そして、難関の1つが民法なのですが、私の場合、「難関を後回しにすると、結局直前まで勉強せず慌てる」という愚の骨頂を繰り返すこと、間違いありません。

 

ということで、本日は先に公認心理師試験ブループリントp20にある、“注意義務”と“過失”についてまとめておきます。

 

 

 

法における“注意義務”と“過失”の関係

先のエントリで民法において“説明義務”と“インフォームド・コンセント”がどのように定義づけられているか確認しました。

 

sakura0501.hatenablog.com

 

 『民法講義Ⅴ契約法〔第3版〕』(近江浩司・著、成文堂)には医療における説明義務とインフォームド・コンセントについて非常に詳しく、かつわかりやすく載っていました。

(図書館などで本書にあたれる方は、一読することをおススメします)

 
民法講義 (5) 契約法

 

しかーし…。

 

注意義務についてはいささか説明が弱かったんですよね。

 

民法講義Ⅴ契約法〔第3版〕』(近江浩司・著、成文堂)p342には下記のような記述があります。

 

以下、引用ーーーー

 

(c)安全配慮義務

安全配慮義務は、一般的には、契約関係に入った当事者が、互いに相手方の生命・身体・財産的諸利益を侵害しないように負担する注意義務(独立注意義務)である。しかし、契約類型によっては、契約の本体的義務(給付義務)として位置づけなければならない場合がある。医療契約は、その典型であろう。

 

ーーーー以上、引用終わり。

 

 

 

うーん、イマイチ根本がわかりません…(*´Д`)。

 

 

ということで、注意義務をすっ飛ばし過失について調べたところ、ありました、ありました。

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)に書いてありましたので、この本で確認しましょう。

 
【中古】 民法講義 6 / 近江 幸治 / 成文堂 [単行本]【ネコポス発送】

 

 

まず、『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)では“過失”の説明から入ります。

 

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p108には、

不法行為責任は、自己責任として、加害者の故意または過失が必要である」

と書いてあります。

 

 

では、“故意”と“過失”の違いは何なんでしょう?

 

 

どうも、両者は法学者の間でも意見が分かれるようで、明確に区別できないようですが、『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p121には、以下のような記述があります。

 

以下、引用ーーーー

「故意とは、損害の発生を認識しながら、その意思(加害の意思)をもって、あえて損害を生じさせる(=認容)行為である。過失との相違は、知らないで行為したか、認容して行為したかにあるが、認容の中核には“あえて行為をする”という「意思」(加害の意思)が存在している。したがって、故意による不法行為は、「意思」をその帰責根拠としており、行為義務違反と捉える過失不法行為とは、質的な差がある」

(※筆者注:下線は原文傍点が付された部分)

 

ーーーー引用終わり

 

要は、

“損害を与える意思があったか、なかったか”

というところでしょう。

 

では、“過失”と“注意義務違反”はどのように関係しているのでしょうか。

 

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p110によると、“過失”には法学的に“主観的過失論”、“客観的過失論”、そして“二重構造論”の3つの見解があり、“客観的過失論”の中で、“行為義務違反”が出てきます。

 

“行為義務違反”とは、“当該具体的な状況の下で行為者がとるべき行為義務認定し、それに違反していること”であり、“行為義務違反(注意義務違反)”とされています(『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p110)。

 

さらに、p112には、“注意義務違反(結果回避義務違反)”と書いていることから、

 

行為義務違反=注意義務違反=結果回避義務違反

 

というところなんだろうな、と思います。

(私の知能の理解はここまでしか及びませんでした(*´з`)スミマセン)

 

 

 

注意義務違反と過失が認定されるのは、どういうとき?

「相手に対して不利益が被るとわかっていながら、それを回避する努力をしなかったとき注意義務違反(行為義務違反または結果回避義務違反)が生じ、それ故、過失が認定される」

というところまでは、少ない脳みそで理解できました(*´Д`)フー、ヤレヤレ。

 

 

では、具体的に、注意義務違反と過失が認定されるのはどういう場合なんでしょうか。

公認心理師と、どういう風に絡んでくるんでしょう。

 

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p113には以下のように書かれています。

 

以下、引用ーーーー

例えば、同じく自動車の運転手といっても、バス、トラック、自家用車、オートバイでは、それぞれの運転者の置かれる過失の内容が違ってくるし、医師など専門家には専門家としての注意義務が、また物品の製造業者にもそれなりの注意義務が課されよう。

ーーーー以上、引用終わり。

 

 

キター(*´▽`*)、“専門家”!

 

つまり、その専門や業界の水準に照らし合わせて必要な注意を払わないと、損害を与えたときに“注意義務違反”“過失”認定されちゃう、ってことですね。

 

また、『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p113~114には

「過失の本質が「結果回避義務」違反(=客観的過失)であると捉えた場合、論理的には、その前提として、結果発生に対する「予見可能性」が要求されることになる。予見が不可能な場合には、結果の回避を期待できるはずもなく、また、709条は結果責任(無過失責任)ではないからである」

とあります。

 

つまり、「相手に損害を与えることを予め知ることができたかどうか」ということが問題になるんですね。

 

 

でも、“予見”って難しい概念ですね。

 

「そんなの常識的にわかるじゃん」

というのもあれば、

「いくら考えても、わからなかったよー」

ということ、日常的にありますよね~。

 

それを法律はどう解釈しているか。

 

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p115では「予見義務」について、(α)信頼性の原則、と(β)調査義務、を説明しています。

 

まず、(α)信頼性の原則は、交通事故でいうと「交通ルールを無視した異常な運転までも予見すべき義務はない」とする考え方ということのようです。

 

つまり、ルール違反をした行為に絡んで起こった損害については、その責任を負う必要はない、というところなんでしょうね(批判はあるようです)。

 

 

まあ、この辺は納得できます。

 

我々にとって重要なのは、(β)調査義務かもしれません。

 

 

民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p115には、以下のような記述があります。

 

以下、引用ーーーー

 

特に危険な業務を行う者(企業)について、その行為が、他人の生命、身体、その他重大な被害をもたらす可能性がある場合には、その行為が安全であるか否かを「調査」し、安全である場合にのみその行為が許されるとする考え方が、公害、薬害、医療過誤などの領域において発展してきた。

 

ーーーー以上、引用終わり。

 

 

キター(゚д゚)!、医療過誤

 

つまり、例え診療や治療行為でも、相手に危険が生じる行為をする場合は、安全確認をしっかりしなさいね、ということですね。

 

はー、この辺、心理士は弱いかもですね~。

 

 

スタンレー・ミルグラムの実験のように、危険な心理実験があることはみなさんよく知っていると思いますが、臨床での心理的支援で“クライアントや患者さんに損害を与える”可能性って考えること少ないんじゃないでしょうか。

 

少なくとも、これまでの臨床心理学では、心理検査や心理療法の侵襲性について教えたり、研究したりすることは少なかったと思われるので、今後検証と対策が必要になるのかもしれません。

 

 

 

 さらに、『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p117では、“他の行為規範との関係”にも触れています。

 

以下、引用ーーーー

 

(α)取締法規との関係

 まず、行政上の取締法規が、一定の行為を禁止している場合がある。そこで、それに違反して損害を与えたという場合に、結果回避義務違反に違反したことになるであろうか。行政上の取締法規と民事不法行為責任とは規範の内容が別であるから、理論的には両者は無関係であるが、ただ、実際上、取締法規違反が結果回避義務違反となる場合が多い。(中略)したがって、そのような場合には、結果回避義務違反となり得る。

 

ーーーー以上、引用終わり。

 

 

つまり、公認心理師法に違反した場合は、即ち、民事法上の結果回避義務違反(注意義務違反)になりますよ、ってことですね。

 

公認心理師法には秘密保持義務、信用失墜行為の禁止、資質向上の責務、などがありましたが、こうしたことをきちっとしないまま、クライアントや患者さんの不利益につながる結果をもたらすと、注意義務違反で過失認定されちゃうよ、ってことですね。

 

 

次に、(β)業界の水準・慣行等についても記述があります。

 

以下、『民法講義Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(近江浩司・著、成文堂)p117~118より引用ーーーー

 

(β)業界の水準・慣行等

 業界には、それぞれの業務行為の水準ないし慣行が存在している場合がある。(中略)医療関係において、2つの具体的問題がある。

 第1は、「医療水準」の問題である。(中略)

 ①ある新規の治療法が医療水準にあるかどうかは、当該医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきである。

 ②新規の治療法に関する知見が類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及し、かつ当該医療機関でもその知見を有することを期待することが相当と認められるときは、その知見は当該医療機関にとっての医療水準である。

 第2は、「医療慣行」の問題である。判例は、医療水準は医師の注意義務の基準(規範)となるべきものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、当該医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたとはいえない。

〔▶→『契約法』「医療契約」「医療水準」(【Ⅴ】337頁)〕

 

ーーーー以上、引用終わり。

 

 

こ、ここで、先のエントリとつながりましたよ~。

(ぐるっと一周(*´Д`))

 

つまり、ちゃんと他の平均的な公認心理師が行う心理的支援と同程度の援助を行えるよう努力し、他の選択肢がないか説明し、云々云々…。

とういことです(笑)。

 

長かった…。

でも、よくわかったヨー。

ということで、自分なりにまとめてみます。

 

 

まとめ

①説明義務、注意義務、過失は一連の法的概念である。

 特に医療行為は「医療契約」という相手の身体に侵襲的行為を行う、民法上特殊な契約であり、その実行には説明義務、注意義務について万全の注意を払う義務がある。よって、公認心理師も医療領域などで心理的支援を行うに当たっては、同等の義務を行う必要があり、これを怠ると過失と認定される。

 

②公認心理師法に規定されいている義務を怠ったり、禁止されている行為を行うと、即ち民法上でも注意義務違反、過失と認定される可能性がある。

 

③自分が行う心理検査や心理的支援の説明を十分に行い、クライアントや患者さんの同意を得ないと、損害を生じさせた場合、注意義務違反および過失が認定される。

 

④公認心理師法上、状況によって技法を変えることが必要としてある以上(公認心理師現任者講習会テキスト2018参照)、自分が得意とする技法にこだわってクライアントや患者さんに損失を生じさせると、説明義務違反、注意義務違反、および過失のいずれにも当てはまる可能性がある。

 

…こんなところでしょうか。

 

 

考えてみれば、今までは、精神分析認知行動療法、遊戯療法などなど、いろいろな技法をそれぞれの専門家が独自の判断で行っていました。

精神分析専門の先生は認知行動療法は使わないことが多いし、遊戯療法が得意な先生は児童・青年期が専門なので、成人の心理療法はよく知らない、という場合もあったと思います。

 

 

これまでは、それでよかった。

臨床心理士のままだったら…。

 

でも、これからはそうはいかないってことです。

 

公認心理師になったからには、

そのクライアントや患者さんの状況にあった方法を適宜選択し、

自分の専門以外のアプローチもある程度勉強し、

自分の専門では手に負えなかったら、適当な専門家と連携せよ。

そうしたことができるよう勉強せよ。

 

ってことですね。

 

そして、

 

それができずに、クライアントや患者さんに損害が生じたら、

民法上の不法行為に当たり、損害賠償請求されちゃうよ。

 

ということなんだと思います。

 

 

よくわかりました…。

私も肝に銘じます…。

 

大変長くなりましたが、心理士が国家資格になることの責任を十分認識し、業務に当たってまいりましょう~。

 

 

(長くなってスミマセン;つД`))

 

※「医療契約」「医療水準」の説明は、私の勉強では甚だ不足しているので、各自『民法講義Ⅴ契約法〔第3版〕』(近江浩司・著、成文堂)を読んでください。必読だと思います。

 


民法講義 (5) 契約法

 

 

 

くだらない独り言

今年は暦の当たりが良かったですが、みなさんGWいかがお過ごしでしょうか。

 

私はめちゃくちゃ、のんびり過ごし、患者さんに「昼間寝るなー」と言えないくらいののんびりぶりでした(*´▽`*)。

 

 

しかし、公認心理師試験のことを忘れていたわけはありません。

 

実はGWに入る前、公認心理師試験ブループリントの構造について、もう1つ気づいたことがあるので、ここに覚え書きを残しておきます。

 

 

 

 改めて、公認心理師試験ブループリントの構造と対策とは?

9月9日(日)に予定されている第1回公認心理師試験。

 

私のようなダメダメ心理士日本代表はさておき、

大学や大学院でしっかり勉強した方や、きっちり研鑽を積み重ねた方なら、そんなに恐れることはないと思っています。

 

 

しかし、それでも受験者のみなさんの不安が拭えないのは、なんといっても

情報の少なさ

でしょう。

 

 

いやほんと困るよねー(;´Д`)。

 

3月にブループリントが公開されたはいいものの、「一体これどの本に載ってるの?」と思わされましたもん。

いやー、日ごろの(長年の?)勉強不足が、祟る、祟る…。

勉強しなきゃなんないのはわかっているものの、

 

「どの本で勉強したらいいかわからん」

 

というのが、今回の試験の最大の問題だと思います。

 

 

 

まあ、先のエントリに書いた通り、ブループリントのベースになった本は確実にあるわけです。

 

sakura0501.hatenablog.com

 

でも、どの本がベースになったか、なんて公表されない。

 

私は偶然にも2冊見つけることができ、他にもあることは確かで、見つけられれば勉強の効率も上がるってもんです。

しかし、ベースなった本を探してばかりでは、肝心の勉強が進まない、というジレンマもあります(本末転倒)。

 

そこで、先のエントリでは公認心理師試験ブループリントの構造を考察してみました。

 

sakura0501.hatenablog.com

 

 

しかし、自分で書いててもイマイチな感じは否めませんでした。

 

ある程度、いろいろな分野があることは確実だと思われましたが、

 

…うーん、決め手に欠ける…(-_-;)。

 

探すことは楽しいのですが、勉強する時間も惜しく、

「まあ、これがダメダメ心理士日本代表の限界よ」と割り切り、

「先に公認心理師試験受験申込書かいちゃお♡」

と思った矢先でした。

 

 

…はっ(゚д゚)!

 

私はようやく気付いたのです。

 

ここに、公認心理師試験ブループリントの構造が

書いてあるじゃないかー!

 

 

 

それはどこか。

 

みなさん、お手元に公認心理師試験「受験の手引き」はあるでしょうか。

ない方は「公認心理師現任者講習会テキスト」でもいいですよ。

どちらもない方は、『公認心理師法』の条文を確認できる資料でかまいません。

 

 

察しのいい方は、もうお気づきでしょう。

 

公認心理師試験ブループリントの構造は

 

公認心理師法の条文に全部載っていたんですよ~( ´∀` )

 

 

みなさん、お手元の資料をご覧あれ。

「受験の手引き」p38~、「公認心理師現任者講習会テキスト」p303~に『大学における公認心理師となるために必要な科目』が載っていますよね。

 

以下、「受験の手引き」p38によると…

 

一 公認心理師の職責

二 心理学概論

三 臨床心理学概論

四 心理学研究

五 心理学統計法

六 心理学実験

七 知覚・認知心理学

八 学習・言語心理学

九 感情・人格心理学

十 神経・生理心理学

十一 社会・集団・家族心理学

十二 発達心理学

十三 障害者・障害児心理学

十四 心理的アセスメント

十五 心理学的支援法

十六 健康・医療心理学

十七 福祉心理学

十八 教育・学校心理学

十九 司法・犯罪心理学

二十 産業・組織心理学

二十一 人体の構造と機能及び疾病

二十二 精神疾患とその治療

二十三 関係行政論

二十四 心理演習

二十五 心理実習(実習の時間が八十時間以上のものに限る)

 

 

…です。

 

 

…笑う(*´▽`*)。

公認心理師試験ブループリントの範囲と丸被りじゃないですか。

 

なんてこたあない、少し言い方変えてるだけで、要は

 

公認心理師養成課程で学ぶことと同じ内容出すよ

by厚労省

 

ということだと思うんです。

 

 

しかも、先のエントリで挙げた“健康心理学”もちゃーんと載ってるし、我ながら

 

この気づきの遅さ、

ダメダメ心理士日本代表の本領発揮だわ(∩´∀`)∩

 

と思ってました。

 

はー、気づくの遅いわ。

「1か月回り道しちゃったよー」

と思いつつ、これで参考書を探しやすくなったと思ったのでした(笑)。

 

連休明け、各大学図書館もまた一般開放されるでしょう。

また、書店で参考書を探すときにも、公認心理師法に載っている科目の本を探すことによって、効率よくいい参考書を見つけられると思います。

 

みなさんの勉強の助けになれば幸いです。

 

 

という、相変わらずのくらだない内容でした。

あははは~(*´▽`*)

 

医療計画(問題220~234)

さて、今日から通常運転モードです。

 

さくっと問題から入りましょう。

 

問題

問題220 次のA、Bに当てはまるものを選びましょう。

(A)法30条の4第1項には、都道府県は、厚生労働大臣の定める基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画((B))を定めるものとする、とあります。

 

1.病院法 2.医療法 3.感染症法 4.医療計画 5.地域保健法

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題220 解答

(A)ー2.医療法 (B)-4.医療計画

(出典:はじめての医事法 成文堂・p54)

 

いかがでしたでしょうか。

 

 

臨床心理士の方には、“医療計画”そのものを聞いたことがない、という方も少なくないでしょう。

しかし、私はなんとなく聞き覚えがありました。

 

 

はて…どこで聞いたのであろうか?

うーん。

なんか…大学の講義で…。

あれ、なんの講義だったかな?

 

……はっ、思い出した(゚д゚)!

 

 

 

私、栄養学の学部にいたんだったわー(笑)。

 

 

 

実は、私は当初、大学で栄養士になるべく栄養学を専攻しており、その時の必修講義に公衆衛生学があったんだと思います。

その中で、もしかしたら“医療計画”を習ったのかもしれません。

 

話は若干それますが、栄養士さんの養成は私が大学に入った頃に転換期に入っており、医学が必修になりつつありました。

(そういえば、生活習慣病のことも習ったね~(*´з`))

医科大学に解剖の見学に行ったこともありますよ。

(事情により、栄養士を取るのはやめましたが、いろいろ勉強になりました)

 

 

じゃあ、なんで医療計画が必要なんでしょう?

 

先生は、

「日本の病院は民間病院が多い。民間病院の開業に任せていたら、医療機関が都市などに集中して偏ってしまう。だから医療計画を立てて、どの地域でも同じ医療を受けられるようにしているのだ」

というようなことを仰っていたような気がします。

(我ながら、うろ覚えだなー(笑))

 

 

ということで、医療計画ってとても大事なものなんです。 

医療法と医療計画はセットですね。

 

 

では、具体的な内容を確認しましょう。

 

 

問題

問題221 次のA、Bに当てはまるものを選びましょう。

医療計画の策定は昭和60年(1985年)の医療法改正により制度化されたもので、基準病床数、地域の(A)や(B)などの確保事業、医療従事者の確保、地域医療支援病院の整備などが定められています。

 

1.精神科医療 2.高齢者医療 3.救急医療 4.へき地医療 5.啓発活動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題221 解答

(A)-3.救急医療 (B)-4.へき地医療

 (出典:はじめての医事法 成文堂・p54)

 

 

なるほどね~。

 

全ての地域で同じ水準の医療を受けられるように、計画が立てられているんですね~。

 

もっと詳しく見ると、

「平成18年(2006年)の医療法改正により、「これまでの基準病床数に関する事項などに加え、新たに、がん、脳卒中、急性心筋梗塞及び糖尿病に係る治療又は予防に関する事項、救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医療及び小児医療(小児救急医療)の確保に必要な事業に関する事項、さらに、これらの疾病及び事業に係る医療提供施設の相互の医療連携体制に関する事項が定められるなど、医療計画の見直しを通じて、患者本位の、かつ、安全で質が高く、効率的な医療提供体制の確保を図るために必要な改正が行われ」ました(平成19年7月20日厚生労働省医政局通知「医療計画について」より)。」(2009 久々湊春夫・旗手俊彦 編、はじめての医事法 成文堂 p54)

とあります。

 

 

ここで、察しのいい方はお気づきでしょう。

 

“がん”“脳卒中”“糖尿病”ときたら、『生活習慣病』です。

さらに、“災害時における医療”ときたら、『心理的応急処置〈サイコロジカル・ファーストエイド〉』です。

さらにさらに、“患者本位”ときたら、『インフォームド・コンセント』、

“安全で質が高く”ときたら、『医療安全』ですねー。

 

つまり、健康心理学の範囲とつながる部分が多いんです。

この辺りは、さくっと関連付けて覚えておいた方がいいでしょう。

 

 

では、さくさく、さっくりと復習しましょう。

なんと、ハードルを上げて一部、選択式ではなく、記述式です(*´▽`*)。

 

 

 

問題

問題222 A、Bに当てはまるものを選びましょう。

(A)は、国の基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該(A)における医療提供体制の確保を図るための計画(「(B)」)を定める。

 

1.厚労省 2.政府 3.医療計画 4.都道府県 5.保健所

 

問題223 A、Bに当てはまるものを選びましょう。

医療計画においては、次に掲げる事項を定める。

①医療施設相互間の(A)の分化および業務の(B)の推進

1.専門 2.受け入れ 3.連携 4.機能 5.移行

 

問題224 Aに当てはまるものを選びましょう。

②医療(A)体制における医療機能に関する情報の提供

 1.情報 2.提供 3.専門 4.推進 5.連携

 

問題225 A~Eに当てはまるものを書きましょう。

生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ組織的な医療の提供が必要と認められる疾病として厚生労働省令で定めるもの((A)、(B)、(C)、(D)、さらに2011(平成23)年から(E)が追加)の治療または予防にかかわる事業

 

問題226 A~Eに当てはまるものを書きましょう。

④(A)、(B)、(C)、(D)、(E)その他都道府県知事が特に必要と認める医療の確保に必要な事業

 

問題227 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑤(A)等における医療の確保

1.診療所 2.療養病床 3.障害者施設 4.介護施設 5.居宅

 

問題228 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑥医療(A)の確保

1.関係者 2.指導者 3.監督者 4.従事者 5.審査

 

問題229 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑦医療の(A)の確保

1.安全 2.質 3.向上 4.倫理 5.ネットワーク

 

問題230 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑧(A)医療支援病院その他医療機能を考慮した医療提供施設の整備の目標

1.災害 2.小児 3.精神 4.感染症 5.地域

 

問題231 A、Bに当てはまるものを選びましょう。

⑨主として病院の(A)および診療所の(A)の整備を地域的単位として区分する区域((B))の設定

1.医療従事者 2.施設 3.医療圏 4.連携 5.病床

 

問題232 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑩二以上の区域を併せた特別の区域((A))の設定

1.医療圏 2.救急体制 3.災害派遣チーム 4.小児医療 5.大気圏

 

問題233 Aに当てはまるものを選びましょう。

⑪療養(A)および一般(A)にかかわる基準(A)数、精神(A)にかかわる基準(A)数、感染症(A)にかかわる基準(A)数ならびに結核(A)にかかわる基準(A)数に関する事項

1.診療所 2.病床 3.従事者 4.設置 5.病院

  

問題234 A、Bに当てはまるものを選びましょう。

(A)は、少なくとも(B)ごとに医療計画で定められている事項について調査、分析および評価を行い、必要があると認めるときは当該(A)の医療計画を変更する。

1.10 2.厚労省 3.5 4.都道府県 5.保健所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題222 解答

(A)ー4.都道府県 (B)ー3.医療計画

  

問題223 解答

(A)ー4.機能 (B)-3.連携

 

問題224 解答

(A)ー5.連携

 

 

問題225 解答

(A)ーがん

(B)-脳卒中

(C)-急性心筋梗塞

(D)-糖尿病

(E)ー精神疾患 

※順不同

※解説:A~Dは国が対策を講じる四大疾患であったが、精神疾患が追加され、五大疾患になった、という流れがあったように筆者は記憶しています。精神疾患の追加は精神科医療従事者の悲願でだったと思います。

 

問題226 解答

(A)ー救急医療

(B)-災害時医療

(C)-へき地医療

(D)-周産期医療

(E)ー小児医療

※順不同

※解説:周産期医療とは、妊娠・出産・育児などを包括する医療のことを指したと思います。妊娠期の母体の支援、出産から生まれたばかりの子どもの育児支援は途切れなく行われる必要がありますが、“生まれる前→産婦人科”“生まれた後→小児科”にすると、支援に切れ目ができやすくなるので、妊娠~育児までを“周産期医療”として包括する、と講義で聞いたような気がします。詳しくは成書をあたってください。

 

問題227 解答

(A)ー5.居宅

 

問題228 解答

 (A)ー4.従事者

 

問題229 解答

 (A)ー1.安全

 

問題230 解答

 (A)ー5.地域

 

問題231 解答

(A)ー5.病床 (B)-3.医療圏

※解説:医療圏にはそれぞれ、第1次医療圏、第2次医療圏、第3次医療圏があり、それぞれで役割が違ったと筆者は記憶しています。詳しくは成書で確認してください。

 

問題232 解答

(A)ー1.医療圏

 

問題233 解答

 (A)ー2.病床

  

問題234 解答

(A)ー4.都道府県 (B)-3.5

 

(出典:新体系看護学全書 健康支援と社会保障制度④関連法規 メヂカルフレンド社)

 

いかがでしたでしょうか。

 

 

特に問題225と問題226は暗記しておいた方がいいと思います。

また、“医療圏”“周産期医療”の必要性をご存じない方は、この機会に成書でしっかり確認した方がいいでしょう。

(大学の講義でこの辺を徹底的に教え込まれました。多分、医療関係の国家資格の共通知識なんだと思います)

 

また、五大疾患、災害時医療は健康心理学の分野とも重なります。

関連性を確認しながら、まるっと覚えてしまいましょう~(∩´∀`)∩

 

 

 

くだらないご報告その4 ブループリントの構造と対策

はてさて。

 

9月に予定されている第1回公認心理師試験に全く自信がない、

ダメダメ心理士日本代表の私(∩´∀`)∩(きゃー、はずかしー)。

 

でも、無条件降伏するわけにもいかず、地道な試験勉強をしています。

 

 

その中で、偶然、公認心理師試験ブループリントのベースになったと思われる本を見つけてしまいました。

 

多分、同様の本が10冊くらいあるんじゃないかと思うんですが…

 

 

私の目的は試験勉強であって、ブループリントのベースになった本を探すことではありません(笑)。

 

冷静になろう、自分(´ω`*)。

 

 

 

ということで、そろそろ通常運転モード(勉強と問題作り)に戻りたいところなのですが、ここまできてようやく公認心理師試験ブループリントの構造と対策が見えてきた感じがするので、覚え書きを残しておきたいと思います。

 

(ただし、内容はあくまで個人的見解であり、試験結果などについて責任は負えないことを、ご了承くださいm(_ _)m)

 

 

 

公認心理師試験ブループリントの構造

 公認心理師試験ブループリントは、公認心理師法作成に関わった先生方や関係各署の専門家が作成したと思われます。

 

成立過程から、大きく、臨床心理学、基礎心理学、医学の関係者が関わったと考えられることは、先のエントリに書いた通りです。

 

厚労省はそれぞれの分野の専門家を呼んで、試験に盛り込む内容を挙げてもらったと考えられるのですが、既に発見した、ブループリント準拠と思われる2冊の本を合わせて考えると、ただ“挙げてもらった”だけではないでしょう。

 

恐らく、ブループリントを作成するに当たって“適当な本を推薦してもらった”んだと思います。

(その内の2冊が先のエントリで挙げた本だったと思われます)

 

 

ただし、何度も書いているように、

どの先生が、どの本を推薦したのか、なーんてことは厚労省は絶対、公表しません。

 

利益誘導や、試験問題漏洩につながりますからね。

(そういや、司法試験の問題を漏洩して捕まった大学の先生いたよなー(´ω`*))

 

 

 

しかし、 図書館で資料にあたっていくうちに、ブループリントには一定の構造があり、それに沿って行けば、ブループリントに書かれている項目が載っている参考書にいきつきやすい、ことに気が付きました。

 

 

 

それは、心身医学の参考書を探していたときのこと。

 

「あっ、そうか。心身医学は“健康心理学”っていう学際的分野にまるっと収まってるんだ!」

ということに、私はようやく気付きました。

 

さらに、何気に学校心理士の入門書を開くと、現任者講習で何度も出てきた“チーム学校”という文字が…。

 

「あっ、そうか。教育分野には“学校心理士”という独自の資格があるんだった!」

ということに、さらに気が付きました。

 

 

つまり、

 

闇雲にブループリントの項目を調べるのは非効率。

ちゃんと、それぞれの分野のまとめ方の特徴や専門資格独自の考え方を押さえて、しかるべき参考書にあたる必要がある。

 

ということなんだと思います。

 

(この気づきの遅さが、ダメダメ心理士日本代表らしいところです(*´▽`*))

 

 

 

多分、構造的には次のような感じでしょう。

 

1.公認心理師法と公認心理師の仕事、倫理など

2.基礎心理学

3.臨床心理学(臨床心理士

4.精神医学

5.心身医学(健康心理学)

6.教育心理学(学校心理士)

7.産業心理学産業カウンセラー

8.犯罪心理学

9.福祉心理学

10.発達心理学(発達心理士)

11.関係法令

 

 

他にも潜んでいるものがありそうですが、今のところ思いつくのはこんなところです。

 

 

 

公認心理師試験ブループリントの対策

さて、これを前提にこの先どうするか。

 

先に挙げた2冊の本からすると、とりあえず、それぞれの分野の“概論書”を当たればいいと思っています。

 

心理学の基礎四訂版』(培風館)も『保健医療・福祉領域で働く心理職のための法律と倫理 (保健と健康の心理学標準テキスト)』(ナカニシヤ出版)も内容はそんなに深くありません。

どちらかと言えば、大学で勉強する時の入門書に近いと思います。

 

ですので、他の分野を当たるときも、深く掘り下げた本ではなく、入門書や概論書を当たるので十分なんじゃないか、と思っています。

 

 

ただし、ここで注意しなければならないのは、先に書いたように、

 

その分野の資格やまとめ方、みたいなものを頭に入れておかなければならない、ということです。

 

 

ここでもう一度思い出してみてください。

 

公認心理師は民間の心理士資格を包括する性格を持っています。

ブループリント作成時には、臨床心理士基礎心理学者、医療関係者だけでなく、学校心理士、産業カウンセラー、発達心理士といった資格を持っている人も関わったんじゃないでしょうか。

 

でないと、不公平ですよね。

 

きっと、犯罪心理学の分野では、保護観察所家庭裁判所などの公務員心理士も意見を述べたことでしょう。

(犯罪心理士、っていう資格はないですから)

 

 

要するに、その分野独自のまとめ方をした概論書にあたり、その分野に独自の資格があったら、その入門書を当たった方が、効率的なんじゃないか、と思うのです。

 

(心身医学が“健康心理学”という学際分野を持っていることを知らなければ、健康心理学の本に行き当たれませんでした)

 

まあ、そういった感じでやっていけば、もう少し効率的にブループリントを攻略できるんじゃないかと思っていたのでした。

 

 

 

最後に、おまけですが。

 

図書館でこんな本を見つけました。

 


よくわかる健康心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

 

 心身医学の内、生活習慣病、タイプAの性格、サクセスフル・エイジング、ポジティブ心理学などは健康心理学の本に載っています。 

 

しかし、図書館でさらっと見たところ、若干『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)は深い感じがしました。

 

そのへん、この本はさくっとわかりやすく説明されており、ブループリントの項目もかなりカバーしていると思われました。

気になる方は図書館や書店で確認してみてください。

初学者におススメの本です。

 

(“よくわかる”シリーズはよくわかる刑事政策 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)も犯罪・司法分野の項目をわかりやすくカバーしているのでおススメです)

 

 

みなさんの勉強のお役に立てれば、何よりです。

では、明日から通常モードに戻りますねー(´ω`*)。

 

相変わらず、くだらないこと言ってるわー、自分(笑)。

 

 

 

くだらないご報告その3 参考書について

さて、前回のエントリでお知らせしたこの2冊。

 


保健医療・福祉領域で働く心理職のための法律と倫理 (保健と健康の心理学標準テキスト)

 


心理学の基礎4訂版 [ 今田寛 ]


 4月22日(日)現在、Amazon楽天ともに一時在庫切れ状態です。

公認心理師試験受験予定の方が買っちゃったのかな…?

 

当ブログにもこの本を紹介したエントリにアクセスが多く、関心の高さがうかがえます。

 

特に、『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)はシリーズなので、どの程度同シリーズの本がブループリントのベースになっているか気になるところでした。

 

そこで、昨日は地元の大きな書店に行って、同シリーズの他の本の中身を確認してきたので簡単にご報告します。

 

 

保健と健康の心理学(ナカニシヤ出版)のシリーズ内容

公認心理師が心理学に関わる関係各署の合議を基に作られたのは言うまでもありません。

大きく分けて、臨床心理士、心理学(実験心理学など)、医療(医師)だと思われます。

ブループリントは上記3つの関係各署の要望を取り入れたと推測され、私は医療(医師)で押さえればいいのは“精神医学”だろう、くらいに思っていました。

 

しかし、盲点がありました。

 

それは心身医学です。

 

心身医学とは心理状態と関連性が深い病気の分野で、心疾患などの生活習慣病、不眠などを含んでいます。

そういえば…『精神科専門医のためのプラクティカル精神医学』(中山書店)を勧めてくれた職場のDrも、心身医学会の役員で、そういう意味では、心身医学も押さえなけばならなかったのだと、今更ながら気づきました。

 

つまり、医療分野を攻略するためには、精神医学と心身医学の両方の分野を押さえなければならない、ということです。

 

 

 それに、現任者講習でよく聞いた“生物心理社会モデル”とか公認心理師ブループリントp18 ポジティブ心理学なんて言葉は私の経験上、臨床心理士の世界ではあまり聞いたことがなく、どの本に載っているのか、だれが提唱し始めたのか、全くわかりませんでした。

 

それが、この『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)シリーズにほとんど載っていたのです。

 

注目すべきは、こちら。


臨床健康心理学 (保健と健康の心理学標準テキスト)

 

 私が書店で見た限り、こちらには現任者講習会でよく挙げられていた、“生物心理社会モデル”のことが書いてあり、ポジティブ心理学も取り上げられています。

 

つまり、このシリーズを書いた人の考えが、かなり公認心理師ブループリントに反映していると考えられるのです。

 

普段、総合病院などで働いている人にはあまり必要ないかもしれません。

しかし、SCの経験しかない方、大学教員でも医療以外がご専門の先生方は、この機会に心身医学の先生方がどういうことを公認心理師に求めているのか、確認するために一読しておく必要があると思いました。

 

内容もブループリントと重なる部分があるので、試験対策にも使えると思います。

 

同シリーズは他に、産業保健心理学 (保健と健康の心理学標準テキスト)もありましたが、私が見る限り、ブループリントと重なる部分は少ないようでした。

きっと、産業の方は他にベースになった本があるんだろうな、と思っています。

ただし、馴染みのない方は読んでおいて損はない内容だと思います。


産業保健心理学 (保健と健康の心理学標準テキスト)

 

 

 

参考書の入手の方法

さて、こんなくだらないご報告でも情報拡散は早いもので、Amazonなどで『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)や『心理学の基礎四訂版』(培風館)が売り切れ状態になるとは、予想外でした。

(このブログだけの影響ではないと思いますが…)

 

「どうしよう、買えなかったら試験勉強できない!」

と、焦っている方もいるかもしれません。

 

Amazonでは早くも上記書籍を高額販売している業者も見受けられます。

(いわゆる、せどり、ってやつですね)

でも、そんな高額で買う必要はありません。

ちゃんと定価で買えたり、無料で閲覧できる方法はあるので、焦らずご自分に合った方法で、資料にあたってみてください。

 

 

 

1.大学図書館

私が最もよく使っている方法です。

ブループリントにはたくさんのベースになっている本があると思われますが、それを全部買っていたら、とんでもない金額になりそうです。

でも、大学図書館はお金もかからないし、何より資料が豊富。

情報が足りなかったり、読んでもわからない時は他の本で補足できるので、この機会に大学図書館でもう一度勉強してみてはいかがでしょうか?

私も、『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)は大学図書館で発見しました。

オススメは、臨床心理士養成大学院がある大学の図書館です。

 

 

2.インターネットで取り寄せる

今、みなさんが最も使っている方法でしょう。

しかし、注文が集中すると品切れになってしまい、その分、入手が遅れます。

Amazonの他に、筆者がお勧めするのはセブンアンドワイです。

お近くや、よく行くセブンイレブンで受け取りもでき、nanacoポイントもつくので、私はよく使います。

セブンイレブンで受け取る時は送料無料です。

 

 

 品ぞろえはAmazonより少ないですが、Amazonで買えなかったものが残っています。

4月22日(日)現在、『心理学の基礎四訂版』(培風館)もまだ在庫があるので、Amazonで買い逃した方は、こちらで入手してみてはいかがでしょうか。

(『保健と健康の心理学4 臨床健康心理学』(ナカニシヤ出版)も取り扱っています)

 

 

3.地元の大きな書店

大都市、地方都市のジュンク堂紀伊国屋三省堂などの書店で購入する方法です。

私はある地方都市に住んでいますが、いずれの書店にも『保健と健康の心理学』(ナカニシヤ出版)が全巻揃っていました。

中身を確認してから必要な巻を買うこともできるので、書店に足を運んでみましょう。

取り置きもできますし、それぞれの書店でも通販をしています。

 

 

4.小さな書店でお取り寄せ

地元にジュンク堂紀伊国屋三省堂などの大きな書店がないところにお住いの方は、小さな書店で取り寄せてみましょう。

私は以前、職場の近くにある小さな書店でAmazonのコピーを見せて、よく取り寄せてました。

出版社に在庫があれば、2週間程度で届きます。

届いたら電話で連絡をくれます。

しかも送料無料。

専門書がない書店でも取り寄せてくれるので、活用しましょう。

 

 

5.出版社から直接購入

実はナカニシヤ出版では直接通信販売を展開しています。

他に医学書院、金剛出版など、いろいろな出版会社が独自に直接通販をしています。

Amazon楽天ブックスセブンアンドワイなどで購入できなかった方、もしくは入荷まで待てない方は、出版社から直接通販で購入した方が早いでしょう。

 

ちなみに『保健と健康の心理学』シリーズ(ナカニシヤ出版)はナカニシヤ出版の公式サイトで通販可能なようです。

www.nakanishiya.co.jp

 

 

 

焦る気持ちわかります。

 

でも、

ここは落ち着いていきましょう(*´▽`*)。

 

 

そもそも、ブループリントには各項目で重なる部分も多いです。

私が取り上げた本以外で勉強していても、差支えないものも少なくありません。

 

そして、

厚労省が、ブループリント準拠の参考書が必ずなくては合格できないような試験問題を作るとは、考えられません。

 

先のエントリでもお伝えしたように、厚労省はブループリント準拠の本は絶対公表しません。

私は今回、試験勉強をしている中で偶然発見したに過ぎないのです。

発見できなかったら、不合格、なんて試験は公平ではありません。

 

むしろ、発見したことが幸運だっただけです。

 

 

きちんと勉強をして、キャリアを積んでいれば問題ないはずです。

焦らず、ご自分のキャリアの強みを活かした試験勉強をしてほしいと思っています。

 

 

ちなみに、今週また図書館でいろいろ資料を探ってくるので、これぞという本がありましたら、ご紹介します。

 

という、またまたくだらないご報告でした…。

あははー(*´∀`*)

 

 

くだらないご報告その2 保健医療分野および福祉分野に関する法律、制度を学ぶための参考書(公認心理師試験ブループリント用)

自称・ダメダメ心理士日本代表の私にとって、今回の公認心理師試験ブループリントの範囲は本当に広く感じます。

 

そんな私が今回、最も警戒している範囲。

それがブループリントp20~22に渡る、“公認心理師に関係する制度”です。

 

 

いや、ある程度は知っているんですよ。

ある程度は。

知ってはいるけど、細かく聞かれると……、あいたたたたた…(^▽^;)。

いかん、日頃のボロが出てしまう(笑)。

 

 

ということで、ここはサクッと早めに確認しておこうと、今日はとある大学図書館に行って法律関係の本を調べていたのでした。

 

そして…。

 

…わたしは気づいてしまった。

 

というより、見つけてしまったんです。

 

 “公認心理師に関する制度 保健医療分野に関する法律、制度”と“福祉分野に関する法律、制度”の大半が、まるっと載っている本を( ゚ロ゚)!!!

 

それは、これだー。

 

保健と健康の心理学標準テキスト第2巻

保健医療・福祉領域で働く心理職のための法律と倫理

山崎久美子、津田彰、島井哲志 編著

カニシヤ出版

 

 
保健医療・福祉領域で働く心理職のための法律と倫理 (保健と健康の心理学標準テキスト)

 

 

いや、最初は看護師試験対策の本で医療計画を確認していたんですよ。

 

そして、席に戻ろうとしたとき、ふと目に入ったので開いて目次を見たら…。

 

(あれ?自殺対策基本法載ってる)

(あれれ?地域保健法も、母子保健法も載ってる…)

 

えっ?えっ?これって……

まじかー((( ;゚Д゚)))!

 

他にも、健康増進法からヘルシンキ宣言まで。

ほぼ、この本から出してるんだな、ってわかりました。

 

しかも、前半には公認心理師法案成立の過程まで載っている。

つまり、これがブループリントのベースなんじゃないかと思うのです。

 

 

ここで察しのいい方は、もうお気づきでしょう。

 

sakura0501.hatenablog.com

 

こちらでご報告した時に、私はうっすら

「ああ、やっぱりブループリントのベースになった本があるんだな」

と思っていました。

 

多分、厚労省は関係各署の先生方を集めて、このブループリントを作成したんでしょう。

でも、どの先生に聞いたのか?、とか、どの本から出していたのか?、なーんてことは、絶対公表しません。

だって、利益誘導になるかもですし、試験問題が流出するかもですし。

 

公表はされない、でも確かにある、ブループリント準拠の心理学その他の専門書。

その1つがこの本だったんではないでしょうか。

 

保健と健康の心理学標準テキストはシリーズなので、図書館で探せる人は他も目を通すといいかもしれません。

 

これで法律関係はだいぶ楽になりました~。

 

 

 

…という、実にくだらないご報告でした。

 

ひゃっほーい(∩´∀`)∩

 

 

多重知能(問題217~219)

今日は“多重知能”について、『心理学の基礎三訂版(培風館)』を基に確認しましょう。

 

昨日、問題216でガードナーの“多重知能”を取り上げました。

多重知能は公認心理師試験ブループリントp11・(1)認知機能の発達及び感情・社会性の発達の項目に載っています。

 

ある程度、臨床で知能検査を採ったり、大学院で実習などされている学生さんにとって、「知能は単一のものではない」ということは常識と言えば常識でしょう。

 

『じゃあ、知能はどういう構造をしているか、一応、確認しといてよ』

 

というのが、厚労省の受験生に対する教示なわけです。

 

 

ところが『心理学の基礎三訂版(培風館)』p231からの知能の構造の項目にはいろいろ書いてあり、どれを的にすればよいかわからない。

でも、ブループリントでは親切に(多重知能)と書いてくれているので、ここを押さえておいて欲しいんでしょうね。

 

 

では、知能についての議論を確認してみましょう。

 

 

 

問題

問題217 Aに当てはまるものを選びましょう。

(A)によって一般知能因子gが抽出されたのは1904年のことであるが、1990年代になってジェンセン(A.R.Jensen)やキャロル(J.B.Carroll)によっても、一般因子の存在は追認されている。

1.キャッテル 2.ヴント 3.トールマン 4.スピアマン 5.アイゼンク

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題217 解答

(A)ー4.スピアマン

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p231)

 

 

 

いかがでしたか?

心理学の基礎三訂版(培風館)』によると、一般知能因子gは、政治的、優生学的な側面に影響を与えていて、激しい論争の元になっているとのことです。

 

次いで、キャッテルの“流動性知能”と“結晶性知能”の概念が出てきます。

 

復習しておきましょう。

 

問題

問題218 AとBに当てはまるものを選びましょう。

A:以前の学習経験や一般的経験によって形成された能力。文化的な影響を強く受ける。数学的問題を解いたり、言語の定義をおこなったりする。

B:スピアマンの一般知能因子gに相当する。関係を発見し、理解すること、その理解をもとにして推論を引き出す。

 

1.結晶性知能 2.言語性能力 3.流動性知能 4.構成能力 5.人工知能

 

 

 

 

解答

 問題218 解答

(A)ー3.流動性知能

(B)-1.結晶性知能

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p231)

 

いかがでしたか?

 

では次に、ガードナーが提唱した“多重知能”を確認しましょう。

 

ガードナーは「知能を、情報処理する生物心理学的な潜在能力であって、ある文化で価値のある問題を解決したり成果を創造したりするような、文化的な場面で活性化されることができるものである」と定義しています(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p232)。

 

さらにガードナーは8つの独立した知能が存在するという、“多重知能(MI:Multiple Intelligence)”という理論を提唱しています。

 

では、その中身を問題形式で確認しましょう。

 

問題 

問題219 次の文章当てはまるものをそれぞれ選びましょう。

 

A:話しことばと書きことばへの感受性、言語を学ぶ能力、およびある目標を成就するために言語を用いる能力など。

B:問題を論理的に分析したり、数学的な操作を実行したり、問題を科学的に究明する能力に関係する。

C:音楽的パターンの演奏や作曲、鑑賞のスキルを伴う

D:問題を解決したり、何かを作り出すために、体全体や身体部位を使う能力を伴う

E:広い空間のパターンを認識して操作する能力や、もっと限定された範囲のパターンについての能力が特徴

F:他人の気持ちや動機づけ、欲求を理解して、その結果、他人とうまくやっていく能力

G:自分自身の感情を認知し、行動をコントロールする能力

H:種々のものを区別したりその区別を正当とする際に適応する能力

 

1.博物的知能

2.内省的知能

3.空間的知能

4.流動性知能

5.対人的知能

6.身体運動的知能

7.音楽的知能

8.論理数学的知能

9.結晶性知能

10.言語的知能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題219 解答

(A)ー10.言語的知能

(B)ー8.論理数学的知能

(C)-7.音楽的知能

(D)-6.身体運動的知能

(E)ー3.空間的知能

(F)ー5.対人的知能

(G)ー2.内省的知能

(H)ー1.博物的知能

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p232‐233)

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

うーん、8つの知能を見る限り、筆者には何一つ優れた知能がないのではないかと思われました…シューン(*´Д`)。

 

ガードナーは「高い知能と低い知能の独自の組み合わせがあり、これにより個人が禿頭づけられる(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p233)」としていますが、本当かなあ…。

 

私みたいな、ダメダメ心理士のためのなぐさめなんじゃ…(以下略)。

 

 

それはともかく、多重知能の理論はアメリカで大変重視されているようです(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p233)」。

 

他にも資料をあたって、確認しておきましょう(´ω`*)。