心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

精神医学とその周辺の勉強を制するには?(脳を制する者は精神医学を制する)

今年、予定されいている第1回公認心理師試験において、精神医学をはじめをした医学に非常に重きが置かれていることは、先日書いた通りです。

スクールカウンセラー、産業、福祉などの領域でしか働いた経験がない方や、医療機関で働いていても期間が短かったり、ケース担当が少ない方はさぞや不安だろうと思っています。

 

しかーし、今まで大学や大学院の心理士養成課程ではあまり重要視されていなかったのですから、ご自分を責める必要はありません。

これから勉強すればいいんです。

 

これから!

 

自分を責める時間があるなら、

勉強する時間にあてましょう!(´ω`*)

 

 

…ただし、そうは言っても、9月9日の試験に間に合わせるには、やはりどうにも広い。

参考書を紹介したはいいものの、あれを全部読んでいたら、他の勉強が間に合わなくなるかもしれません。

 

さて、ここをみなさんにどう突破していただくか…。

…。

…。

 

 

ということを、私なりに考えた結果…

 

「やっぱ、脳みそだな(∩´∀`)∩」

 

との結論に至りました。

 

 

 

『なぜ、脳みそが精神医学を勉強するのに重要なのか』

 

さて、心理士や心理士になるべく勉強中の学生さんには、「“発達障害”や“知的障害”、“うつ病”はよく知っているよ」、という方が多いと思います。

 

しかし、公認心理師試験のブループリントをご覧くださいな。

 

統合失調症から認知症、はては依存症まで、ICD‐10に網羅されている精神疾患を全て頭に叩き入れよ、と厚労省はプレッシャーをかけている。

しかも、薬剤性精神病、症状性精神病、リエゾン精神医学まで覚えておけと、まるで風速30㎞/時超という圧のかけ方です。

 

わーーー、飛ばされるうううーーー(*´▽`*)。

(笑ってる場合じゃない)

 

もちろん、1つ1つの病名を潰して当たる方法もあります。

でも時間は有限です。

年単位の勉強ならまだしも、半年では…。

 

 

でも、あきらめる必要はありません。

 

とにかく

脳みその構造各部位の機能を押さえるんです!

これが、精神医学を制する一番の近道だと、私は思っています。

(若干大げさですが…)

 

 

なぜか。

 

例えば、統合失調症

現在、統合失調症神経伝達物質ドーパミンの過剰放出が原因である、との仮説を基に治療が行われています。

治療薬も、この仮説を基に開発されています。

 

また、うつ病

うつ病神経伝達物質セロトニンの不足により起こる、との仮説を基に治療が行われています。

治療薬も、この仮説を基に開発されています。

 

てんかんは脳波の異常。

認知症は脳の萎縮。

高次脳機能障害は脳機能の一部破損。

以下、続く…。

 

というように、精神疾患の多くには、脳機能の何らかの異常(神経伝達物質、物理的破損など)で起こる、との考えが 前提にあるんです。

 

脳の異常を想定していないものと言ったら…。

パーソナリティ障害くらい?かな?

 

 

逆を言うと、

 

脳の機能とそれぞれの精神疾患の関係を覚えておけば、いちいち病名を覚えなくても、治療戦略と治療薬、アセスメント方法まで芋づる式で覚えられるんです多分。

 

 

…というか、精神医学はそういうものなのです。

 

 

なのでちまちま病名と症状、治療方法を勉強するよりも、

 

脳の解剖図と機能をまとめた本を片手に、精神医学の勉強をした方が遥かに理解が早い

 

と私は思っています。

 

(『標準精神医学第7版』医学書院も最初は神経細胞ニューロン)や脳機能の説明から始まっていますが、精神医学の勉強には脳機能の理解のが重要だからだと思います。)

 

 

…思えば、心理学を学ぶ人の中でも脳みそは“とっつきにくい”“難しい”と思われ、肩身の狭い思いをしてきました。

 

 

うっ…、なんて不憫なんだ…(´Д⊂ヽ

別に脳みそが悪いわけじゃないのに、避けられている脳みそ。

いつも仲間外れにされている脳みそ…。

 

かわいそうです…(ノД`)・゜・。

 

 

みなさん、ここは1つ、

 

公認心理師試験をきっかけに、脳みそと親睦を深めようではありませんか!

 

 

別に、全ての脳機能を暗記する必要はありません。

脳の解剖図を手元に置きながら、精神疾患とのつながりを確認すればいいんです。

 

そうすれば、ほら。

統合失調症の原因と治療薬がつながり、

副作用とパーキンソン病がつながり、

知的障害と認知症の鑑別ポイントがわかり、

高次脳機能障害から薬物依存まで、ぜーんぶがつながってくる!

 

 

みなさん、

 

脳みそが一生懸命、私たちに精神医学を教えてくれている声が聞こえてきませんか?

 

 

 

 …ゲホッ、言いすぎました。

 

まあ、そのくらい、重要だということを言いたかったんです。

 

 

脳機能を覚えると、それにつながる生理心理学、神経心理学、心理検査なども、するするっと頭に入ってきます。

 

私も最初は苦手でした。

でも、今はお友だちです(片思いかもしれないけど)。

 

今、私は心理統計という難関に挑戦しています。

親友にはなれないかもしれないけど、ちょっとした知り合いくらいにはなれるかもしれないという予感があります。

 

人生、日々挑戦です。

これを機に、“脳機能”という新しい友だちを作ってみませんか? (´ω`*)

 

 

 


標準精神医学 第7版 (Standard Textbook)

 

 

 

 

 

 

尺度水準の復習(問題165~168)

散々、Twitterでは問題を出していましたが、『心理学 第4版』(東京大学出版会)に尺度水準についてまとめられた文章があるのを見つけたので、ダメ押しで出題します。

わからない方は、Twitterの過去問を解いてみてください。

 

問題

問題165 次の文章に当てはまるものを選びましょう。

賛成を1、どちらとも言えないを2、反対を3と表わす場合は、数値の大きさも順序も意味はなく、意見を分類するためのカテゴリーを区別するため、仮の数値をあてはめているにすぎない。

 

1.順序尺度 2.名義尺度 3.距離尺度 4.比率尺度 5.名目尺度

 

 

問題166 次の文章に当てはまるものを選びましょう。

意見を、1.非常によい、2.よい、3.どちらとも言えない、4.悪い、5.非常に悪い、と5段階に区分するときは順序としての意味がある。しかし、1と2の距離が2と3の距離よりも短いなどとは言えない。数値の足し引きもできない。

 

1.度数尺度 2.名義尺度 3.間隔尺度 4.順序尺度 5.比率尺度

 

 

問題167 次の文章に当てはまるものを選びましょう。

数値を間隔の差で表し、数値の比を考えない。たとえば温度計の数値で、40度は20度よりも暑いとは言えるが、前者が後者の2倍暑いとは言えない。通常、標本の平均、分散、相関など、ほとんどすべての統計量を求めることができる。被験者の回答を数値で表示するのに用いることが多い。

 

1.間隔尺度 2.名目尺度 3.度数尺度 4.比例尺度 5.距離尺度

 

 

問題168 次の文章に当てはまるものを選びましょう。

通常、長さや重さなどを数値として考える内容と同じである。原点0からの距離を測ることができ、数値どうしの比が考えられる。幾何平均、調和平均、変動係数なども計算できる。

1.順序尺度 2.名義尺度 3.比率尺度 4.距離尺度 5.比尺度

 

 

 

 

 

解答

問題165 解答

2.名義尺度 または 5.名目尺度

 

問題166 解答

1.度数尺度 または 4.順序尺度

 

問題167 解答

1.間隔尺度 または 5.距離尺度

 

問題168 解答

3.比率尺度 または 5.比尺度

 

 

いかがでしたか?

この辺から、少しずつ心理学統計も入ってきますね。

少しずつ確認していきましょう(´ω`*)。

 

 

 

 

感染症と院内感染対策(問題146~152)とおまけ

Twitterでもお知らせしたように、季節外れのインフルエンザ(A型)にかかってしまった私。

優しい看護師さんの厳しい助言により(笑)、あえなく4日間の自宅療養を余儀なくされたのでありました(;´∀`)

 

しかーし、こんなことくらいでめげる私ではありません。

せっかくの機会ですので、公認心理師試験ブループリントp20にもある“感染症対策”について、私の事例をめいっぱい利用しながら、確認しましょう。

 

今回は最後に、実践感染症対策のおまけもつけてみました。

 

 

 

 1. 感染症について

問題

では先に、公認心理師現任者講習会テキスト2018版から、作った問題で基本を押さえていきましょう。

 

問題146 次のA、Bに入るものを選びましょう。

(A)、細菌、真菌、(B)、異常プリオン等の病原体が感染(体内に侵入、定着、増殖)することにより出現する病態を感染症という。

1.ウィルス 2.花粉 3.異物 4.寄生虫 5.体液

 

問題147 次のA、Bに入るものを選びましょう。

感染後症候が出現する(A)に対して、感染が抗体出現で確認されても症候がしないものを(B)という。

1.日和見感染 2.顕性感染 3.潜伏期 4.潜在感染 5.不顕性感染

 

問題148 次のA、BおよびCに入るものを選びましょう。

不顕性感染があり、病原体が長期間存在するものを(A)といい、(B)が低下すると顕性感染となる。健常人には感染しないような病原性の弱い微生物による感染で、(B)が低下している場合に起きるものを(C)といい、医療機関でその予防が問題となる。

1.抵抗力 2.日和見感染 3.感染防御能 4.潜在感染 5.飛沫感染

 

 

 

 

 

 

解答

問題146 解答

(A)ー4.寄生虫 (B)-1.ウィルス

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

問題147 解答

(A)ー2.顕性感染 (B)-5.不顕性感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

問題148 解答

(A)ー4.潜在感染 (B)-3.感染防御能 (C)-2.日和見感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

問題146と147は大体、察しがつくと思いますが、問題148はHIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)のことを知らないとわからないかもしれません。

 

インフルエンザをはじめ、世の中には様々な感染症がありますが、その中でも、HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)は特殊な感染症に入るようです。

 

インフルエンザの潜伏期間は1~3日で、急激に発症し、38℃を超える高熱などの特徴的な症状を呈します。インフルエンザにかかって「風邪かな?」と思い違いをする人がいても、必ず発症して発熱したり、風邪のような症状が出ますよね。

そういう意味ではインフルエンザは顕性感染に入るのかもしれません。

 

一方、HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)は感染してすぐ症状が出るわけではなく、しばらくの間は自覚症状がないまま、健常者と同じ生活を送ることができます。

こういう意味では、不顕性感染なのでしょう。

しかし、ウィルスの増殖に従い、本来備わっていた免疫能力(CD4の値)が落ちてきて、健常者では感染しないようなウィルスや菌に感染して発病するようになります。

これが、日和見感染ということになると思います。

 

感染症の概念は、リエゾン精神医学に出てくるHIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)に対する心理的支援にも必要な知識ですので、押さえておいて損はありません。

 

では、次に感染の広がり方を押さえていきましょう。

 

 

問題 

問題149 次の説明にあてはまるものを選びましょう。

病原体に汚染された物体・食品・汚物・手指などから主に口からまたは性行為により体内に侵入して感染する。

1.接触感染 2.垂直感染 3.空気感染 4.飛沫感染 5.日和見感染

 

問題150 次の説明にあてはまるものを選びましょう。

咳やくしゃみの飛沫が1~2メートルの距離で吸入して感染する。

1.接触感染 2.集団感染 3.飛沫感染 4.垂直感染 5.空気感染

 

問題151 次の説明にあてはまるものを選びましょう。

空気中に飛沫に含まれる水分が蒸発して粒子(飛沫核)として浮遊しているものを吸入して感染する。

1.母子感染 2.飛沫感染 3.顕性感染 4.空気感染 5.接触感染

 

問題152 次の説明にあてはまるものを選びましょう。

母親から胎児・新生児に胎盤や母乳を介して直接伝播して感染する。

1.飛沫感染 2.垂直感染 3.接触感染 4.母子感染 5.空気感染

 

 

 

 

 

 

解答

問題149 解答

1.接触感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

問題150 解答

3.飛沫感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

問題151 解答

4.空気感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

問題152 解答

4.母子感染 または 2.垂直感染

(出典:公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p132)

 

 

いかがでしたか?

一口に“感染”と言っても、実に様々な経路がありますね。

 

インフルエンザは基本的に飛沫感染、接触感染だと聞いています。

特に飛沫感染は大きなくしゃみをして一気に周りにいる人に感染させることがあるので、医療機関では要注意です。

ただし、空気感染はしません。

 

一方、母子感染(垂直感染)で有名なのはやはりHIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)でしょう。

近年、HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)も治療薬が進歩し、以前のような“死に至る病”ではなく、慢性疾患に近くなってきたと言われています。

それに伴い、高齢化したHIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)患者様をどうケアするか、という問題が出てきていますし、女性の場合は、結婚・出産をどうするか、という問題も考えていかなければなりません。

(余裕のある方は、こちらでHIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)について確認しましょう。

 独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センターhttp://www.acc.ncgm.go.jp/index.html

独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・HIV/AIDS先端医療開発センター

http://www.onh.go.jp/khac/

北海道HIV/AIDS情報

http://hok-hiv.com/

 

この他、公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版]では、風邪、結核にも触れていますので、他の本も参考に代表的な感染症について確認しておきましょう。

 

 

 

2.院内感染対策について

さて、次に“院内感染対策”について確認していきましょう。

普段、医療機関の感染対策に馴染みのない方のために、ここで私の今回の顛末(笑)を思う存分利用して考えてみましょう。

 

 

今回、私は日曜日の午前にインフルエンザを発症したのに気づきました。

既に私が住んでいる町のインフルエンザ警報は解除されていましたが、症状的にどう考えてもインフルエンザでした。

 

私が働いているのは精神科病院

月曜日から閉鎖病棟の患者さんの予約も毎日入っている…。

どうしよう…。

出勤すべきか、休むべきか…。

 

みなさんなら、どうしますか?

 

実はここで迷ってはいけないのです。

何故かというと、インフルエンザは非常に感染力が高い感染症で、出勤して患者さんに接触すると簡単にうつしてしまう恐れがあります。

しかも閉鎖病棟で患者さんにうつしてしまったら、病棟内で感染を拡大させてしまう恐れが非常に高くなります。

そうなったら、閉鎖病棟は機能マヒに陥り、緊急の患者様の受け入れができなくなってしまいます。

 

さらに、閉鎖病棟には認知症で入院中の高齢の患者さんもいらっしゃいます。

もし、高齢の患者さんにうつしてしまったら、命の危険につながるかもしれません。

 

私だけの問題じゃないんです。

病院全体の問題なんです。

 

私は月曜の朝一で職場に電話し、午前の仕事をキャンセルした後、近所の内科を受診。

インフルエンザA型感染が確定し、看護師さんから4日間の自宅療養を命じられました。

実は今も、療養中です。

 

…ん?長い?

ブログ書いてるくらいだったら、出勤して仕事しろって?

 

いやいや、そうはいかないんですよ。

インフルエンザウィルスは、病状が治まってからも体内に留まり感染させる力を持っているので、発症後5日は自宅にいなきゃならないんです。

出勤したら、優しい看護師さんに張り倒され…(; ・`д・´)以下略

 

 

ちなみに、医療機関ではたいてい感染対策委員会などのグループがあり、患者さん、スタッフも含めた感染状態の把握、保健所からの情報収集、職員への指導を行っております。

(保健所などからはインフルエンザの定点観測や警報の情報が発表されます。地域保健対策を復習しておきましょう)

 

では、なぜ院内感染対策をするのか。

 

①患者さんを守るため

みなさん、病気を治しに病院に行ったにも関わらず、そこで重大な感染症にかかったらどうしますか?

たいていの方は納得いかないでしょう。

命の危険にさらされる可能性もあるので、まずは患者さんを守るために感染対策をしなければなりません。

 

②医療資源を守るため

私の職場でも数年前、病棟でインフルエンザが広がり、緊急の患者さんの受け入れを断らざるを得ませんでした。

ベッドが空いているのに、スタッフがいるのに、患者さんを受け入れられない。

こういうこともあるのです。

医療機関は薬と同じく、限られた医療資源だと思います。

医療資源を有効に使い、患者さんをいつでも受け入れられるよう、感染対策は重要なのです。

 

 

さらに、医療機関のスタッフは感染源にならないよう、自分が感染しないように十分注意します。

当然、インフルエンザの予防接種は義務です。

(そのため、医療機関によってはスタッフの予防接種を無料、または安く受けされてくれます。私はアレルギーで予防接種ができないので、毎年きちんと理由を添えて受けられないことを報告します)

インフルエンザ以外の感染症のことも勉強しておき、手洗い、うがいを徹底します。

 

 

個人で心理面接オフィスを開いている先生も、クライアントに感染させないよう、ご協力いただきたいと思っています。

 

 

 

おまけ 感染対策のコツと便利な仲間たち

 さて、ここからは試験から離れて、感染対策の具体策を私の職場での実践を参考にご紹介します。

おまけですので、勉強を進めたい方は飛ばしてください。

 

まず、冬場の感染症には代表的なものが2つあります。

①インフルエンザー38℃以上の高熱、強い全身倦怠感、筋肉痛など

②ノロウィルスー急激で強い、下痢と嘔吐

 

この2つの感染症は我が職場でもめちゃくちゃ恐れられており、担当医師と看護師さんが中心になって毎年、綿密な感染対策が行われます。

 

一般の方は、「感染症予防にはアルコールを使えばいいんでしょ」と思いがちですが、実はノロウィルスにアルコールは効果がありません(インフルエンザウィルスにはアルコール系消毒剤が効きます)。ノロウィルスには塩素系消毒剤を使用します。

ですので、この2つの感染症を予防するために、アルコール系消毒剤と塩素系消毒剤を併せて使っていきます。

 

 でも、日常ではどのハンドソープや消毒剤がいいかわからないと思いますので、なかなか市販ではお目にかからない医療用除菌グッズをここにご紹介します。

(どれも私の職場で使われていて、使用感がいいものを自宅に取り入れています)

 

 

おススメ その1

花王ソフティEX‐CARE

 

 職場では手洗い励行。

公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版]・p65でも処置の段階ごとに趣旨を洗浄することを勧めています。

でもね…。

何度も、何度も手を洗うと、当然荒れるんです。

荒れて傷ができると細菌も感染しやすくなるので、手指の肌は健康な状態をキープするのが感染対策でも理想です。

そこで、最近、私の職場で導入されたのがこちらです。

洗浄成分が穏やかなものが使用されており、洗う感触から違う…。

トゥルトゥルなんですよ、これ。

感動して、早速自宅にも導入しました。

肌の弱い人でも気兼ねなく、何度も手洗いできるのがGOODです(*´▽`*)

 

手を洗うときは、手首も忘れずに。

汚染物を触ったときは、腕も洗いましょう。

また、みなさんが毎日使うカギも雑菌がつきやすい場所です。

手洗いついでに、カギも小まめに洗いましょう。

 

 

おススメ その2

ソフティハンドクリーン手指消毒ジェル

 

 

手を洗うところまでいかなくても、あるいは洗った後にさらに消毒のために使われるのが、同じソフティシリーズの消毒剤なのですが、たいていはプッシュ式のアルコールミストなので、肌の弱い人には若干使いにくいのです。

そんな方のために、ジェル状の手指用消毒剤があります。

うれしいのは花王が独自に開発し、化粧品キュレルシリーズにも入っている疑似セラミドが成分に含まれていることです。

さらに、このボトルは女性の手の中に収まる大きさで、持ち運びにも便利。

家の中で場所を取らず、外にも持って行けるのがいいと思っています。

 

 

 おススメ その3

 セイフキープ

 

 

手指消毒ハンドジェルがアルコール系だったのに対して、こちらは塩素系の消毒薬が入った使い捨てウェットティッシュ

これで、ドアの取っ手、窓の取っ手、椅子を寄せるとき手をかけるところ、パソコンのキーボード、マウス、受話器、などなど…考えられ得る、“日常でよく手で触るところ”とフキフキします。

「どこを日ごろ触っているか…」

さあ、考えてみましょう。

ここは、心理士としての腕の見せ所ですよ。

ただし、塩素系ですので、メッキや金属のものは腐食する恐れがあります。

また、ノロウィルスを完全に消毒するには、塩素系薬剤を適度に希釈して消毒する必要があるので、万能ではないことを頭の隅に入れておいてください。

 

おススメ その4

かんたん汚物処理キット

 私の職場には通称“ノロセット”というものがあります。

これは、万が一、ノロウィルスに感染した患者さんが吐いた場合に使う道具のことです。

ノロウィルスもインフルエンザ同様、感染力が非常に強く、吐しゃ物の処理にあたった人が知らずに感染することも多いのです。

しかし、吐しゃ物を放っておくと感染は余計広がります。

そこで、バケツの中に、使い捨てのプラスチックエプロン、グローブなどをバケツに入れて、いつでも持ち出せるようにしているのです。

家ではなかなか使い捨てのプラスチックエプロンを用意するのは難しいと思っていましたが、こういうものもあるんですね。

すごいわ、花王さん。

患者さんの中には、ノロウィルスにかかった患者さんの看病をしていた家族全員が感染した、という人もいたので、こうしたものを家に置いておいて、家の中での感染拡大も防いで欲しいと思います。

また、その後はキッチンハイターやブリーチなどの漂白剤を適度に希釈し、床などを拭いて消毒します(詳しくはこちら→花王お問い合わせ

http://www.kao.com/jp/soudan/topics/topics_067.html

 

いや、しかし、こうしてみると、うちの病院、花王さんにお世話になってるなー。

 

 

ということで、長くなりましたが、今日はこの辺で。

これからは個人オフィスに医療機関からクライアントをお願いする機会も増えるかもしれません。

そういう時に、医療機関と同じ感染対策を行えるよう、まずお家で実践しながら、感染症対策を学んでください。

 

うがい、手洗いも徹底しましょうねー(´ω`*)。

 

 

 

 

リスボン宣言

Twitterにて、公認心理試験において“リスボン宣言が重要らしい”という話題があったので、一応調べておきました。

以下、2012年・柳澤信夫著『現代医学概論』(医歯薬出版株式会社)から引用してまとめてみます。

 

 

リスボン宣言は私も職場で見聞きしたことがあります。

“患者様の権利”についてまとめられたものですね。

精神科は患者さんの権利を制限することが多いので、とても重要視しています。

 

では、具体的にどのような経緯で決められ、どのような内容になっているのでしょうか。

 

現代医学概論』p167には以下のように書かれています。

 

 

以下引用ーーーー

 

 近年、医療における患者の自己決定権を重視する動きが高まり、これは医師の世界代表機関である世界医師会(WMA)の「患者の権利に関するリスボン宣言」として1981年以来改訂を重ねて現在に至っている。

 

ーーー引用終わり

 

 

へー。

私はてっきり、WHOが決めているかと思っていたのですが、違ったんですねー。

世界医師会(WMA)なんて初めて聞きましたよ~。

 

 

じゃあ、リスボン宣言の具体的な内容どのようなものでしょうか。

ざっくりした内容を『現代医学概論』p167から引用してみます。

 

 

以下引用ーーー

 

①良質の医療を受ける権利(ただし経済的視点については言及されていない)

②選択の自由の権利(セカンドオピニオンを含む)

③自己決定の権利(インフォームド・コンセント

④情報に関する権利

守秘義務の権利

⑥尊厳、宗教的支援の権利(終末期医療)

 

ーーー引用終わり

 

 

なるほどー。

リスボン宣言が重要な理由がわかってきますね。

 

③の“自己決定の権利”は前回、民法・契約法で触れたインフォームド・コンセントと重なります。

インフォームド・コンセント民法だけではなく世界医師会(WMA)も「大事にしましょう」と言っているんですね。

 

また、⑤の“守秘義務”は言わずもがなでしょうか。

リスボン宣言でも大事にされている、ということですね。

 

あと、⑥の“尊厳、宗教的支援の権利(終末期医療)”は緩和ケアやサイコオンコロジー(精神腫瘍学)、がん治療など、リエゾン精神医学と重なる部分ですね~。

 

 

その他にも重要な内容がまとめられていますので、この機会に全部確認しておきましょう。

 

 

 

以下、2012年・柳澤信夫著『現代医学概論』(医歯薬出版株式会社)p168から引用ーーー

 

表15‐3 患者の権利に関するリスボン宣言の項目

1.良質の医療を受ける権利

  *誰でも、最善の利益に即した、良質の医療

  *供給が限られる医療は公平な選択手続きによる

2.選択の自由の権利

  *医師、病院、保健サービス機関を自由に選ぶ権利

  *治療中に他の医師の意見を求める権利

3.自己決定の権利

  *情報を得て検査、治療に同意、不同意する権利

4.意識のない患者

  *法律上の権限を持つ代理人インフォームド・コンセント

  *緊急医療の容認。事前の意思表示(advanced directive)の尊重

5.法的無能力の患者

  *法的代理人の同意が必要。出来るだけ患者の意思決定を

  *救急の場合、患者の最善の利益に即して行動

6.患者の意思に反する処置

  *医の倫理に合致する場合、法律が認める場合は例外的に可

7.情報に対する権利

  *自己の情報、説明を受ける権利

  *第三者からの患者に関する情報は、第三者の同意なしに伝達は不可

  *情報が患者自身の生命、健康に危険をもたらすおそれがあると信ずるべき十分な   

   理由があれば、患者に与えなくてよい

8.守秘義務に対する権利

  *患者情報(健康状態、診断、治療、予後など)は死後も守秘義務。ただし患者の

   子孫は自分の健康上のリスクに関する情報を得る権利あり

  *患者の同意あるいは法律により情報開示

  *個人情報保護

9.健康教育を受ける権利

  *健康に対するすべての人の自己責任が強調されるべき

  *個人の健康と保健サービスについて情報を得た上で選択

10.尊厳に対する権利

  *患者の文化および価値観の尊重

  *医療と医学教育で常に尊重

  *人間的な終末期ケアを受ける権利

  *尊厳を保ち、安楽に死を迎えるための助力を受ける権利

11.宗教的支援に対する権利

  *信仰する宗教の聖職者による支援を含む精神的、道徳的慰問を選択する権利

 

ーーー以上、引用終わり

 

 

ふーむ、なるほど。

 

“6.患者の意思に反する処置 *医の倫理に合致する場合、法律が認める場合は例外的に可”は、精神科の措置入院医療保護入院に関わってくるのかもしれません。

自殺や他害などが示唆された場合の例外的措置も関係するのかもしれませんね。

 

あと、健康増進法や健康日本21のように、国民や患者さんが主体的に健康維持に取り組もうと働きかける運動は、“9.健康教育を受ける権利 *健康に対するすべての人の自己責任が強調されるべき”に基づいて行われているのかもしれません。

 

さまざまな領域の法律や制度と関連がありそうです。

 

この機会に心理士も頭に入れておいた方がいいですね。

勉強になりました~(´ω`*)。

 

 

 


現代医学概論第2版 [ 柳沢信夫 ]

 

 

 

精神医学を学ぶための参考書について

9月に行われる公認心理師試験がこれまでの臨床心理士試験と違うのは、精神医学と関連領域の出題範囲の広さにあると思っています。

現任者講習会を既に修了した方はご存知と思いますが、この講習会でも精神医学とその周辺の医学分野には教育、福祉など他の分野に比べて倍以上の時間が割かれていました。よって、試験勉強をするにあたっては精神医学と精神医学周辺の知識(リエゾン、緩和ケアなど)はきちんと確認する必要があると筆者は読んでいます。

 

しかし、一口に“精神医学”と言っても……広い。

 

ブループリントを見ると、統合失調症から気分障害発達障害、さらには認知症高次脳機能障害、薬剤性精神病など、精神医学のあらゆる知識を要求されていることがうかがえます。

私のキャリア(というか専門)は精神科医療と福祉なので勉強にはあまり苦労しないのですが(かと言って手抜きもしません。自分の知識を確認するためにきっちり勉強します)、精神科医療の経験がない方や乏しい方は勉強に相当苦労されるんじゃないかと思っていました。

 

ということで誠に僭越ながら、私が推薦する精神医学の参考書をご紹介いたします。

ちなみに私は今年から大学生などの実習を引き受ける予定ですが、実習生にも下記の本を読んで予習するよう大学の先生にお願いしてあります。

学生さんで“これから公認心理師を取るために大学で勉強する方”や、“将来、精神科医療など医療分野で働くことを検討している方”にもオススメいたします。

(ただしダメダメ心理士日本代表を自認しているので、その辺り、ご容赦ください)

 

 

①必携のもの

 

・ICD‐10 精神及び行動の障害ー臨床記述と診断ガイドライン

 融通男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗 監訳 医学書院

何よりも先に買うべき本はこれです。

「え?DSMじゃないの?」と思ったそこのあなた。

医療領域の診断基準のスタンダードはICDです。

診断書、役所に出す書類、カルテの診断名は全てICD-10で統一されています(ブループリントもICD-10です)。

ICD‐10は国際基準なので、齟齬がないよう統一されているのかもしれません。

ICD-10DSM-5には疾病の分類に若干の違いがあります。

(例えば境界性パーソナリティ障害ICD-10では情緒不安定性パーソナリティ障害と記述されています。)

あまりICD-10に馴染みがない方は、この機会に確認してみるといいと思います。

ちなみに私は心理検査報告書を書くときなど、常に臨床でこの本の記述を確認しています。

ICD-10は近々11に改訂されるようです。

 

・標準精神医学第7版 

 野村総一郎・樋口輝彦 監修、尾崎紀夫・朝田隆・村井俊哉 編集 医学書院

今回、試験勉強するにあたって非常に活躍してくれている本です。

精神疾患、病理、治療薬、精神障害者福祉からリエゾンまで、ブループリントの精神医学と医療分野の大半をこの一冊でカバーしていると思います。

発達、パーソナリティといった一見、心理学の専門分野と思われる内容も書かれているので、精神医学がこの辺りをどのように考えているか確認するのにも役立つと思います。

また巻末には医師国家試験の精神医学分野の出題範囲も記載されていますが、これがブループリントに非常に重なる部分が多いのです。

私は今のところ第6版しか持っていないので、問題もここから出典した内容になっていますが、先日Twitterで医学書院の方から第7版が出ているとご案内いただきました(ありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*♡)。

既にネットで注文したので、近々問題も第7版からだすことになると思います。

 

・精神医学ハンドブック第7版

 山下格 日本評論社

私の職場にはある精神医学の権威の先生がいらっしゃって、怖いもの知らずの私が「精神医学を勉強するためにオススメの本を教えてください」と聞いたところ推薦された本です。

内容はさらっと精神疾患全般をまとめたものですが、比較的平易な文章で書かれており、記述量も多くなく、初学者などにオススメです。

私の職場のDrは略全員がお持ちのようです。

お医者さんと精神疾患の知識を揃えるためにも持っていて損はない一冊です。

 

 

 

 ②あった方がいいもの

 

・精神科専門医のためのプラクティカル精神医学

 山内俊夫 総編集、岡崎祐士・神庭重信・小山司・武田雅俊 編集 中山書店

標準精神医学が学術的・まとめ的に書かれていたのに比べて、こちらは現場目線から書かれた本です。

これも、とある権威の精神科医の先生に勧められた本です。

内容は標準精神医学とほぼ一致しますが、現場目線なので精神科医療の経験がない方でもお医者さんの診療の流れや考え方がわかると思います。

結構厚い本ですが、文章が平易なので初学者にも読めると思います。

ICD-10、標準精神医学、精神医学ハンドブックの間隙を埋めるのに役立つと思います。

個人的には、これから病院実習生を控えている学生さんや医療と連携することを考えている心理士さんなどに必ず読んでほしいと思っています。

 

・精神症候学第2版 

 濱田秀伯 弘文堂


精神症候学第2版 [ 浜田秀伯 ]

精神医学の専門知識や用語を簡潔に説明している本です。

読み込むのではなく、辞書的に使っています。

ICD-10、標準精神医学、精神医学ハンドブックなどでわからない言葉がある方は、こちらを手元に置きながら読むと理解しやすいと思います。

 

・臨床知能診断法 

 中野光子 山王出版

神経心理学高次脳機能障害の心理検査について詳しい一冊です。

実践的に書かれているので、初学者でも理解しやすいと思います。

心理検査を勉強するのにもオススメです。

 

高次脳機能障害学第2版

 石合純夫 医歯薬出版

こちらも神経心理学系ですが、失行、半側空間無視認知症から脳の解説まで、幅広く網羅しています。

症状別の神経心理学的検査についても解説されており、ブループリントで認知症やMMSEがわからなかった方は、こちらで確認するといいと思います。

 

・脳血管障害と神経心理学 第2版 

 平山蕙造・田川晧一 編集 医学書院


脳血管障害と神経心理学第2版 [ 平山恵造 ]

高次脳機能障害関係をさらに深めたい方に…というか、今後はこのくらいの知識が心理士にも求められのかもしれません。

高次脳機能障害第2版に載っていない詳しい知識が載っています。

 

 

以上、独断と偏見に基づいてオススメしてみました。

量は多いですが、ブループリントの内容を見ながら確認すると、心理学専門分野とのつながりも理解しやすいと思います。

また、これから勉強されたい方は読んで損はないと思います。

 

当然、私も全部持っており、臨床には欠かせません。

 

お役に立てれば嬉しいです。(*´∀`)

 

 

 

 

科学者ー実践者モデル

科学者ー実践者モデルのまとめ

 

普段から勉強不足の私にとって、ブループリントに乗っている数々の言葉はわからないことばかりです。

その1つである“科学者ー実践者モデル(the Scientist -Practitioner Model)”について、良い記述を見つけたので、ここにまとめます。

以下、『心理学の基礎三訂版』(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編・培風館、p251)から引用していきます。

 

科学者ー実践者モデル(the Scientist -Practitioner Model)は1949年アメリカのボールダーで開催された会議で確立され、別名“ボールダーモデル”といいます。

科学者ー実践者モデル(the Scientist -Practitioner Model)に基づく臨床心理学者養成プログラムには以下の5つの特色があります。

 

①心理学の基礎分野の知識を習得させる

②臨床心理学専門知識の習得は講義やセミナーと併行して実習を積ませることにより強化する

③科学的な研究法と統計などによるデータの評価方法を必須科目にする

④1年間に相当する臨床心理のインターンシップ制度を実施する

⑤実証研究に基づく博士号(Ph.D.)学位論文の提出を義務づける

 

…へー、そうなんだ~。

って、ハッ(゚д゚)!

これって、公認心理師試験の出題範囲で求められている知識と重なるではありませんか。

 

まじかー。

 

さらに、“臨床心理学専門家は科学者であるべきか、それとも実践家であるべきか、という二者択一型の考え方ではなく、双方のバランスが大切”とあり…。

 

まじかー。

私、実践しかできないから、めっちゃバランス悪いわー(笑)。

 

学部で心理学を専攻しないで大学院に入ったから、実験とか統計とか、さっぱりだしね…。

なんか後進の方に申し訳ないわー;つД`)

(実験と統計が全くだめな時点で、落第ですねー)

 

ちなみに、『心理学の基礎礎三訂版』によると臨床心理学の基礎訓練と資格の問題は世界各国で検討が重ねられているんだとか。

 

 

神経心理学認知心理学をとっても、医学や情報処理科学などの他領域の学問と重なることが多いですし、現場に出ると社会・福祉的問題にも関わらざるを得ないので、どこに軸を置くか結論を出すのが難しいのでしょうね。

 

科学者ー実践者モデル(the Scientist -Practitioner Model)が全てではないかもしれませんが、いつでもクライアントの質問や要請に応えられるよう、しっかり研鑽しなければならないことは確かだと思います。

 

死なない程度に、がんばります(笑)。

 

 


心理学の基礎4訂版 [ 今田寛 ]

 

 

 

緩和ケア 2

 緩和ケアについて『精神科専門医のためのプラクティカル精神医学(中山書店)』に詳しく書かれていたので問題形式でまとめます。

(2009年出版の本なので、若干情報が古いかもしれません)

 

問題

問題97 次のA~Eに入るものを選びましょう。

 問題WHOの緩和ケアの定義

「生命を脅かす疾患に直面した患者・(A)のQuality of Lifeを(B)すること。(C)から終末期そして(D)の時期に至るまで、痛みなどの症状緩和やスピリチュアル・(E)的サポートにより達成される」

 

1.診断

2.手術

3.喪

4.支援

5.改善

6.家族

7.共感

8.心理社会

 

問題98 次のA~Dに入るもの選びましょう。

わが国の(A)(2007)は新しい定義を採用し、(中略)、癌の診断に始まり、初期治療、(B)、(C)、終末期まで切れ目なく緩和ケア((D)ケアを含む)がすべての患者・家族に提供されることが目標となった。

 

1.がん対策基本法 

2.遺族

3.自殺対策基本法

4.治療中止

5.再発

6.心理

7.標準治療

 

 

 

 

 

解答

問題97 解答

(A)ー6.家族

(B)-5.改善

(C)-1.診断

(D)ー3.喪

(E)ー8.心理社会

 

問題98 解答

(A)ー1.がん対策基本法

(B)-5.再発

(C)-4.治療中止

(D)ー2.遺族

 

(出典:精神科専門医のためのプラクティカル精神医学 中山書店・p588)

 

 

いかがでしたでしょうか。

こうしてみると、がん患者への心理支援は診断から、患者様の最期のときだけではなく、その後に残されたご家族まで、幅広く長期に渡って行われることになっていることがわかります。“切れ目なく”といところも重要なところです。

 

また、先日Twitterの問題にも出したように、がん性疼痛に用いられるオピオイドによるせん妄などの薬剤性精神障害や術後せん妄などが起こる可能性もあり、これらの知識も関連していると思われます。

 

どの問題がどのように結びついているか、まとめておくといいかもしれません。

 

 

 

 


精神科専門医のためのプラクティカル精神医学