心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

多重知能(問題217~219)

今日は“多重知能”について、『心理学の基礎三訂版(培風館)』を基に確認しましょう。

 

昨日、問題216でガードナーの“多重知能”を取り上げました。

多重知能は公認心理師試験ブループリントp11・(1)認知機能の発達及び感情・社会性の発達の項目に載っています。

 

ある程度、臨床で知能検査を採ったり、大学院で実習などされている学生さんにとって、「知能は単一のものではない」ということは常識と言えば常識でしょう。

 

『じゃあ、知能はどういう構造をしているか、一応、確認しといてよ』

 

というのが、厚労省の受験生に対する教示なわけです。

 

 

ところが『心理学の基礎三訂版(培風館)』p231からの知能の構造の項目にはいろいろ書いてあり、どれを的にすればよいかわからない。

でも、ブループリントでは親切に(多重知能)と書いてくれているので、ここを押さえておいて欲しいんでしょうね。

 

 

では、知能についての議論を確認してみましょう。

 

 

 

問題

問題217 Aに当てはまるものを選びましょう。

(A)によって一般知能因子gが抽出されたのは1904年のことであるが、1990年代になってジェンセン(A.R.Jensen)やキャロル(J.B.Carroll)によっても、一般因子の存在は追認されている。

1.キャッテル 2.ヴント 3.トールマン 4.スピアマン 5.アイゼンク

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題217 解答

(A)ー4.スピアマン

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p231)

 

 

 

いかがでしたか?

心理学の基礎三訂版(培風館)』によると、一般知能因子gは、政治的、優生学的な側面に影響を与えていて、激しい論争の元になっているとのことです。

 

次いで、キャッテルの“流動性知能”と“結晶性知能”の概念が出てきます。

 

復習しておきましょう。

 

問題

問題218 AとBに当てはまるものを選びましょう。

A:以前の学習経験や一般的経験によって形成された能力。文化的な影響を強く受ける。数学的問題を解いたり、言語の定義をおこなったりする。

B:スピアマンの一般知能因子gに相当する。関係を発見し、理解すること、その理解をもとにして推論を引き出す。

 

1.結晶性知能 2.言語性能力 3.流動性知能 4.構成能力 5.人工知能

 

 

 

 

解答

 問題218 解答

(A)ー3.流動性知能

(B)-1.結晶性知能

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p231)

 

いかがでしたか?

 

では次に、ガードナーが提唱した“多重知能”を確認しましょう。

 

ガードナーは「知能を、情報処理する生物心理学的な潜在能力であって、ある文化で価値のある問題を解決したり成果を創造したりするような、文化的な場面で活性化されることができるものである」と定義しています(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p232)。

 

さらにガードナーは8つの独立した知能が存在するという、“多重知能(MI:Multiple Intelligence)”という理論を提唱しています。

 

では、その中身を問題形式で確認しましょう。

 

問題 

問題219 次の文章当てはまるものをそれぞれ選びましょう。

 

A:話しことばと書きことばへの感受性、言語を学ぶ能力、およびある目標を成就するために言語を用いる能力など。

B:問題を論理的に分析したり、数学的な操作を実行したり、問題を科学的に究明する能力に関係する。

C:音楽的パターンの演奏や作曲、鑑賞のスキルを伴う

D:問題を解決したり、何かを作り出すために、体全体や身体部位を使う能力を伴う

E:広い空間のパターンを認識して操作する能力や、もっと限定された範囲のパターンについての能力が特徴

F:他人の気持ちや動機づけ、欲求を理解して、その結果、他人とうまくやっていく能力

G:自分自身の感情を認知し、行動をコントロールする能力

H:種々のものを区別したりその区別を正当とする際に適応する能力

 

1.博物的知能

2.内省的知能

3.空間的知能

4.流動性知能

5.対人的知能

6.身体運動的知能

7.音楽的知能

8.論理数学的知能

9.結晶性知能

10.言語的知能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

問題219 解答

(A)ー10.言語的知能

(B)ー8.論理数学的知能

(C)-7.音楽的知能

(D)-6.身体運動的知能

(E)ー3.空間的知能

(F)ー5.対人的知能

(G)ー2.内省的知能

(H)ー1.博物的知能

(出典:心理学の基礎三訂版 培風館・p232‐233)

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

うーん、8つの知能を見る限り、筆者には何一つ優れた知能がないのではないかと思われました…シューン(*´Д`)。

 

ガードナーは「高い知能と低い知能の独自の組み合わせがあり、これにより個人が禿頭づけられる(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p233)」としていますが、本当かなあ…。

 

私みたいな、ダメダメ心理士のためのなぐさめなんじゃ…(以下略)。

 

 

それはともかく、多重知能の理論はアメリカで大変重視されているようです(今田寛・宮田洋・賀集寛 共編、心理学の基礎三訂版 p233)」。

 

他にも資料をあたって、確認しておきましょう(´ω`*)。