心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

9月6日に起きたこと

本州では、ようやく第1回公認心理師試験が終了しましたね。

 

受験されたみなさん、お疲れさまでした(*´▽`*)。

できの良し悪し、気になると思いますが、受けてしまったものはしょうがない(笑)。

あとは、合否の判定を待ちましょう。

 

ところで、Twitterで私の記事を読んでいる方は既にご存知と思いますが、先日起こった北海道胆振東部地震により私が試験を受ける場所では急遽試験実施が中止になりました。

本当は今頃、このブログで試験の感想など書いてみたかったのですが、予定を変更して発災当日、私たちが住んでいる北海道でなにが起こったのか、書き残しておきたいと思います。

 

 

 

  発災とブラックアウト

 私は9月5日(水)、いつものようにTwitterに問題をアップした後、早めに就寝しました。

翌日9月7日(金)と8日(土)はお休みをいただき、試験勉強をする予定でした。

 

9月5日(水)は台風21号が通過したこともあり、街路樹が多数倒れていて、この日だけでも私の住む街は結構な被害を受けていました。

台風21号の影響だけで試験の実施は少し危ぶまれていたのですが、交通機関は動いていて何とかなりそうではありました。

 

ところが、9月6日(木)3:00過ぎ、突然ドドンという感じの強い揺れで私は目を覚ましました。

 

地震の揺れ自体はそんなに長くはなかったのですが、経験上、危険な揺れだと感じました。

私は枕元にあったタブレットPCで情報を確認しようと思いました。

私が普段、家の中で使っているインターネット接続のPCは、Wifi接続のみのタブレットPCとフリーSIM接続のタブレットPC(家の中ではWifi接続)、デスクトップPCです。

携帯電話はガラケーです。

 

今時ガラケーというのも不思議に思われるかもしれませんが、いろいろな経験から私は「電子機器のバッテリーはいざという時のために分散しておいた方がよい」と思っており、今でもタブレットPCガラケーにバッテリーと情報源を分散させています。

 

ところが、発災直後からWifi接続のみのタブレットPCはインターネットに接続していません。

そしてSIMフリー接続のタブレットPCは家の中なのにも関わらず、Wifiではなく、SIMカードの4G電波しかつながっていません。

 

「何かおかしい」と思い、最近NHKが始めているインターネットの緊急放送を見ようと、私はデスクトップPCを立ち上げようとしました。

 

真っ暗なのでデスクのライトをつけようとしましたが、反応しません。

そこで、私は自転車のカギにつけてあるキーホールダーのLEDライトを取り出しました。

このLEDライトはソーラー式充電のもので、春に買い替えたばかりでした。

 

ところが、LEDライトで電源を探し当てスイッチを押しても、デスクトップPCも反応しません。

  

この時初めて私は、「停電だ」と気づきました。

 発災からものの数分のできごとでした。

(後で発災直後に停電が起きたことを知りました)

 

ハッとすると、部屋の外から何かの警報器が鳴る音が聞こえます。

ガス漏れ探知器が鳴っているのかと思い、探知器のところに行ってみましたが、停電で探知器の電源自体が落ちていてライトがついていません。

 

どうもマンションの非常防火装置が稼働していたようです。

 

時刻は3:20くらい。

家も外もまっくら。

日の出にはまだ1時間くらいかかります。

 

外から人が集まって話し合っている声が聞こえてきましたが、暗闇の中出ていくことも危険と思われました。

 

電話が不通になる前に急いでガラケーで家族と連絡を取り、SIM接続しているタブレットPCのLINEで友人などの安否を確認しました。

携帯電話とタブレットPCの電源を分けていたことによって、これらの電源は翌日の夕方まで持ちました。

 

ただならぬ状況だと思い、この時点で朝が来たらすぐに病院(職場)に行かなければならないと思いました。

取り合えず家の中の安全を確認し、朝にすぐに動けるよう、少し睡眠を取ることにしました。

 

9月6日(木)

いつもより早い5:00に起きた私は、急いで支度をしました。

 

最初に発災時暗くて見つけられなかった携帯ラジオを探しました。

以前、いざという時のために2,000円くらいで買ったSONYの小型ラジオです。

また、いざという時のために買い置きしておいた乾電池も確認しました。

単3と単4の乾電池がそれぞれ10本超くらいあります。

他に充電済みの充電式電池が単3が4~5本、単4も同じく4~5本。

 

ラジオが動くのを確認して、NHKのラジオを聞きながら服装や持ち物を確認しました。

 

リュックサックに作業用手袋、多めのポケットティッシュ

 

停電しているのでガス給湯器は動きません。

冷たい水でさっと顔を洗いました。

迷いましたが念のため、携帯ラジオを持ちました。

ついでに一番容量が多い充電式電池もラジオ用にリュックサックに入れました。

 

幸いにもこの日の降水確率は低かったので、自転車で病院に向かうことにしました。

 

いつも行く近くのコンビニに行くと、既にたくさんの人が買い物に来ていました。

念のため乾電池を買い増ししようと思いましたが、既に売り切れ。

 炭酸水とシリアルバーが少し残っていたので、それぞれ2個ずつ買いました。

 

自転車で大きな道に出ると、どの信号機もついていません。

交差点では警察官が交通整理をしています。

しかし人手が足りないのか、ほとんどの交差点に交通整理の警察官はいません。

 

実は前日の台風で既に幾つか電源が落ちている信号機があり、職場に行くまでに警察官が交通整理をしている交差点を通っていたのですが、今日は昨日の比ではありません。

全ての信号機が停電のために動いていないのです。

 

この時、ようやく停電が広範囲に及んでいることがわかりました。

 

病院の状況

 職場の病院はすっかり電源が落ちていました。

電灯もクーラーも換気扇も、何もかも動きません。

 

出勤した数人の同僚と部署内の物品を確認し、私が持ってきた携帯ラジオで情報を取りました。

 

ラジオの放送をゆっくり聞いて、ようやく北海道全域が停電していることがわかりました。

そして復旧に少なくとも数時間~15時間かかることもわかりました。

 

 

電話は代表電話の外線が一本、非常用発電機で動いている以外は、部署ごとの直通回線は電話器に電源が供給されないため全滅です。

PHSなどの内線は稼働しますが、非常用発電機で動いているためあまり使えません。

 

この日は入院患者さんの心理業務の予定が入っていましたが、実施できる状況ではありません。

直ちにキャンセルをすることを決め、患者さんに説明しに病棟に向かいました。

 

停電のため、当然エレベーターは動きません。

 

私はいつも非常階段で病棟の上階まで行っているので階段で上がるのは苦ではありませんでしたが、停電のため非常階段の電灯も落ちておりまっくらです。

 

キーホルダーのLEDライトで足元を照らしながら、慎重に上りました。

他の職員はスマホで足元を照らしていたようです。

 

患者さんに状況を説明し、気分の確認もしました。

比較的落ち着いているようでした。

 

 

その後、院長主導の元、職員が集まって会議が行われました。

 

深刻なのは水でした。

 

水道は通っているのですが、ポンプで汲み上げているので、上水・下水とも水が病院全体に供給されません。

残っているのは病棟にあるタンクにわずかに残っている水のみです。

その水も塩素濃度が低下し、飲水に使うギリギリの状態です。

計算の結果、節約して使ったとしても半日しかもたないことがわかりました。

 

自家発電機はあるのですが、北海道全域が停電しており、復旧に時間を要し半日以上もかかる可能性があるのであれば、フル稼働させるわけにもいきません。

 

水がないので調理や食器洗いもできません。

停電で冷凍食品が使えなくなったので、入院患者さんに出す給食の食材も限られています。

 

他にも心肺モニター、サクション、電カル、薬包づくり…。

病院機能に必要な機材が停電のため、ことごとく使えなくなっていました。

 

主に医師、看護師、栄養士、ボイラーさんが知恵を絞って、窮状を切り抜ける方法を考えました。

 

ボイラーさんと事務職員が自家発電機の融通、軽油購入に取り掛かることになりました。

 

薬は薬剤師が紙で包んで配薬することに。

処方箋は手書きで。

外来に来た患者さんは受け入れするが、基本的にお薬手帳に書いてある薬だけを数日分などなど…。

 

やはり、一番大変なのは栄養士さんでした。

 

普段、病院業務では目立たない栄養士さん。

しかし、彼らは病院全体の衛生状態を維持するための重要な仕事を担っています。

 

上水管理、食品衛生管理、そして栄養管理と調理です。

 

患者さんの中には嚥下機能が低下しているため、食品を細かくしないと食べられない方もいます。

しかし、停電でミキサーが使えないため、栄養士さんはざるなどを使って手で潰して介助食を作らなければなりませんでした。

 

会議の前に不安になった患者さんが代表電話に電話してきて、お話ししました。

しかし、それ以外に、私にできることはほとんどありませんでした。

院長先生の指示に従い、医師、薬剤師、栄養士、ボイラーさん、事務職員、PSW以外の職員は帰宅しました。

 

タンクの水が切れるのが早いか、停電が復旧するのが早いか、時間との勝負でした。

 

 

9月7日(金)

朝、上司からの電話で病院の停電が解消され、病院機能が回復したことがわかりました。

優先的に通電してもらったようです。

 

私の家は6日(木)に早めに通電したため、タブレットPCと携帯電話をフル充電し、念のため携帯ラジオを持って家を出ました。

 

停電のため公共交通機関は動いておらず、天気予報も雨だったので、歩いて職場に行きました。

道路の信号機はまだどれも動いていませんでした。

 

 

出勤できた職員数名と一緒にデイケアを開くことにしました。

 

公共交通機関が動いていないので、デイケアに来た患者さんは少なかったのですが、一緒にささやかなプログラムを行いました。

 

中にはまだ停電が解消していない家の患者さんもいて、特別にスマホなどを病院で充電してもらいました。

 

患者さんの元気な顔を見れたので、私も少し安心しました。

 

午後には、昨日、心理業務をキャンセルした患者さんと今後の予定を話し合いました。

ご家族も面会にいらっしゃって、状況をお伺いしました。

 

夜には、まだ停電が続いている地域の友人を家に泊めました。

水も食料も限られていましたが、前日よりも安心した夜を過ごせました。

 

 

今回の教訓

今回の地震で、私が住む地域の病院が一斉に電源を喪失しました。

 

ニュースで災害指定病院が患者さんの受け入れを断ったなどの情報が流れていますが、背景には広域停電により全ての病院が一斉に電源を喪失したことがあると思われます。

 

本来であれば、医療計画に基づき、“ここの病院が機能喪失したら、次はこの病院”、“その病院が機能喪失したら、その次はこの病院”というように、各病院が連携を図って、お互いの機能を補完し合うようになっているのだと思われます。

 

しかし、今回は全ての病院が一斉に電源を喪失してしまったために、補完もできなかったのだと推測されます。

 

現在、日本は高度医療の恩恵を受けていますが、いかに多くの医療が電気に頼っているか、今回の件で痛感しました。

今後、同じようなブラックアウトが起きるとは限りませんが、いざという時のために、全ての病院が十分な自家発電機と軽油を常備しておくことが必要だと思いました。

 

また、万が一、電源喪失した時のための医療提供や衛生管理の危機マニュアルも作成しておく必要があると思われます。

 

 

個々のスタッフとしては、日ごろから自力で動けるよう準備を怠らないことが必要だと思います。

 

私は自分のサバイバルのために携帯ラジオ、電池、ソーラー充電式LEDライトを常備していましたが、これのお陰で初動を素早く行うことができました。

また、ガラケータブレットPCに情報収集やバッテリーを分散させたのも功を奏しました。

 

地震の時はガソリン不足などで車を動かせないこともあります。

そういう時のために、日ごろから体を鍛え、バッテリーや情報収集のポートフォリオを組んでおき、すぐに行動を起こせるようにする必要があると思います。

 

当院は今回の教訓を生かして、自家発電機の追加購入と軽油備蓄計画を立てることになりました。

私はソーラー式携帯充電器とより大きな乾電池式LEDライト、そして冬の発災に備えて、スキー用ウエアと手袋、雪道用ブーツを購入することに決めました。

 

 

 公認心理師試験について

 

 9月9日(日)に予定されていた北海道での公認心理師試験は、北海道胆振東部地震により中止され、後日、追加試験が行われることになりました。

 

予定通り受験できなかったことは残念ですが、個人的には心理研修センターの素早い判断に感謝しております。

 

理研修センターや厚労省の方もギリギリの判断だったでしょう。

今年度の受験がなくなったわけではないので、また試験勉強をしながら日程の発表を待ちたいと思います。

 

 

ところで、今回の発災時、私はまっ先に患者さんと病院のことを考えていました。

試験のことはどうにかなるくらいにしか思っていませんでした。

むしろ、来年度受験でもいいかな、とも思っていました。

 

 

みなさんの中には総合病院などとは違って、精神科病院の心理職がそんなに必死になる必要はないんじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、精神科病院も患者さんの大切な命を預かっています。

特に最近は認知症の高齢者の入院患者さんが多いので、停電すると精神科でも患者さんの命の危機に直面します。

 

さらに、停電が長引けは衛生面や水なども確保が難しくなり、閉鎖病棟の患者さんをどうするか、という問題も出てきます。

 

決して、楽観はできないのです。

 

 

そうした時に、何より患者さんのために時間を割けたことはよかったと思っています。

私はキリスト教を信仰しているのですが、こうした状況で、患者さんのことを何より先に考えさせてくださり、さらに患者さんの元に行かせてくれたことを、神に感謝します。

 

今回の震災で亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、被災された方や地域の回復を、心より祈念いたします。

 

みなさんも日ごろから、患者さん、クライアント、そしてご自分のためにできる限りの備えを心がけてください。

 

 

 

…ということで、明日から問題作りを再開します。

 

今年、遅れて受験する人も、来年以降受験する人も

 

カモーン!!(∩´∀`)∩

 

がんばって、厚労省のお役人に「ギャフン」と言わせましょう!

 

 

…という、やっぱりくだらないお話しでした(*´▽`*)。