心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

『精神科治療学』のススメ

約1か月お休みしていた、ダメダメ心理士日本代表の私。

実はダメダメが苗字(family name)で心理士が名前(first name)です(ウソ)。

 

さて、お休みいただいていた最中も、いろいろやっていました。

 

息したり、ご飯食べたり、寝ていたり…(←小学生レベル)。

 

他にも文献を漁っていたのですが、公認心理師試験に役立つ文献で、今までとはちょっと違うものを見つけたので、ここに覚え書きを残しておきます。

 

 

『精神科治療学』のススメ

私の愛読雑誌の1つに『精神科治療学』があります。

みなさん、ご存知でしょうか。

 

『精神科治療学』は星和書店から発行されている、いわば精神科治療総合雑誌です。

 


精神科治療学 Vol.33 No.6 2018年6月号〈特集〉カタトニア(緊張病)の診断・治療を問う[雑誌]

www.seiwa-pb.co.jp

 

 私の職場では定期購読していてDrの愛読者が多いようですが、臨床心理士養成大学院の図書館にも置いていて、私は学生時代から愛読していました。

 

この雑誌が優れているところは、精神医学だけではなく、その周辺や関連事項も特集で取り上げて、ありとあらゆる分野の専門家が執筆しているところです。

 

公認心理師が国家資格になったときには『精神科治療学』でも大きな特集が組まれて、臨床心理士の先生も寄稿なさっていました。

 

 

そんな、『精神科治療学』。

実は公認心理師試験を勉強するにも大いに役立ちます。

 

精神科治療総合雑誌なので、周産期、学校、児童心理学などの分野の特集も組まれることがあり、その道の専門家が執筆されています。

 

さらに、当然、専門雑誌ですから、情報は最新でリアルタイムで法改正と課題などを追っていきますし、査読済みですから情報の信頼性も高いんです。

 

1本読むのに30分くらいあれば十分。

紙幅が限られているので、要点もまとまっており、読破に時間がかからないのも助かります。

図書館でコピーするのに長い論文でも数十円くらいしかかからないので、お財布に優しいです。

 

 

ということで、今回は私が『精神科治療学』で見つけた、公認心理師試験に役立つと思われる論文をご紹介します。

(既読、未読のものが混ざっています。また、探しやすさを優先するため、巻・号、論文タイトル、発行年数から先に表示しています。ご了承ください)

 

 

公認心理師試験勉強におススメの論文

 

 

精神科治療学第31巻第7号 2016 特集ーこころの病理をさかのぼるー精神医学における乳幼児期の意義ー

・乳幼児精神医学という視点 石塚佳奈子・本城秀次 Pp839-843.

・乳幼児期の心理学に関する最近の動向 -心の理論の源流をもとめてー 大藪泰 Pp845‐850.

・妊娠・出産をめぐる母親の精神保健と乳幼児期の精神保健 キタ幸子・上別府圭子 Pp851‐857.

・乳幼児期のアタッチメントの形成とその障害 -その理解と治療ー 青木豊

Pp859‐864.

※アタッチメントとアタッチメント不全の場合に起きる障害、DSM‐5上の分類について学べる。

・乳幼児期の被虐待体験とその後の精神発達への影響 -反応性アタッチメント障害と発達性トラウマ障害ー 友田明美 Pp865‐871.

※アタッチメントとその障害だけではなく、PTSDや生物学的基盤についても学べる。

・乳幼児期における愛着傷害の長期予後 御園生直美・上鹿渡和宏 Pp881‐885.

※愛着傷害とその歴史的背景について学べる。

・乳幼児の精神医学的診察の実際 ー子どもの行動観察を中心にー 本田秀夫 Pp913‐919.

 

精神科治療学第33巻第4号 2018 特集ー対人関係をめぐる精神科臨床

・小児期のアタッチメント/トラウマと成人期の対人関係 山下洋 Pp419‐426.

※アタッチメント障害、メンタライゼーションなど、発達心理学の幅広い概念を学べる。

 

精神科治療学第31巻第4号 2016 特集ー学校と精神医学Ⅰ

・学校精神保健に関する行政の動き 丹羽登 Pp435‐441.

※学校教育制度、特別支援学級など、制度面について学べる。発達障害の区分について精神医学、行政および教育分野での違いがまとめられている。必読。

・インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進と合理的配慮の提供ー「気づき」「支え」「つなぐ」システムづくりと医療-教育連携ー 田中裕一 Pp443‐448.

・学校における合理的配慮と精神医学 内山登紀夫 Pp449‐455.

発達障害と合理的配慮、その法的根拠について学べる。必読。

発達障害と学校精神保健 宇野洋太 Pp457‐464.

発達障害と学校での支援、経過および今後の展望を学べる。

 

精神科治療学第31巻第2号 2016 特集ー認知療法認知行動療法の広がり

・加害者の矯正教育への認知行動療法の応用 髙岸百合子 Pp233‐238.

 

精神科治療学第30巻第1号 2015 特集ー精神科治療学創刊30周年記念特集①ー精神科医療技術の将来ー

・動機づけ面接 原井宏明 Pp105‐110.

EMDR -PTSD以外の精神疾患への適用の有効性ー 市井雅哉・大塚美菜子 Pp129‐133.

 

精神科治療学第30巻第1号 2015 特集ー精神科治療学創刊30周年記念特集②ー10年後の精神医療に望むこと、そのために今できることー

・老年期・認知症のための精神医療サービスの展望 天野直二 Pp271‐276. 

 

精神科治療学第31号第10号 特集ー精神科医療における安全管理Ⅰ

・医療事故調査制度は精神科医療にどのような影響を与えるか 江口研 Pp1245‐1250.

精神科医療と民事訴訟 木ノ元直樹 Pp1251‐1256.

精神科医療における個人情報保護 中島直 Pp1257‐1262.

守秘義務とTarasoff判決の関連性について詳しい。

・コンサルテーション・リエゾンサービスにおける安全管理 和田健 Pp1295‐1301.

精神科病院における院内感染防止対策 -アウトブレイクを経験してー 鈴木健一・村上直人 Pp1339‐1347.

医療機関で働いたことがない人は必読

 

精神科治療学第31号第11号 特集ー精神科医療における安全管理Ⅱ

・地域精神保健福祉活動における安全管理 -受信援助や移送を中心にー 波床将材 Pp1383‐1388.

・外来患者の自殺予防 玄東和・張賢徳 Pp1395‐1402.

 

精神科治療学第31巻第11号

・改正自殺対策基本法について -その意義と課題ー 竹島正 Pp1487‐1492.

自殺対策基本法と成立経緯、内容、現場の実践を概観できる。

 

精神科治療学第30巻第5号

・幻覚妄想状態を呈したHIV感染症の一例 田中真由美・岩本行生・清野仁美・湖海正尋・松永寿人・徳川多津子・澤田暁宏・日笠聡 Pp701‐706.

HIVHIV関連認知症を学べる。医療機関で働いたことがない人は必読

 

 精神科治療学第31巻第6号

非行を発見した医療者が行う地域連携と守秘義務に関する法的研究 石川博康・小野貴子 Pp803‐810.

 

 

 

…こんなところでしょうか。(´ω`;)フー

 

他にもタイムリーな論文が数多くあるので、どうもいい文献を見つけられないという人は、当たってみるといいと思います。

個人的には発達障害関連や教育、合理的配慮の知識が不足していたので、アタッチメントや学校と精神医学の特集はものすごく役立ちました。

 

ちなみに、雑誌『精神医学』(医学書院)は医学的治療に重点が置かれており、薬物治療などの勉強になります。

 

みなさん、チェックしてみてくださいね。(*´▽`*)