災害時派遣精神医療チーム(DPAT)(問題270~280)
5月も半ばにさしかかり、試験まで残すところ3か月半。
みなさん、試験勉強は進んでいますか?
私は相変わらず、ダメダメ道を突き進んでいます( ー`дー´)キリッ。
さて、今回はなかなか知る機会が少ない、災害時等の心理的支援についてです。
自称・ダメダメ心理士日本代表の私は、「テンパりやすくて、一番災害支援に行っちゃいけない人」と自覚しておりますが、
厚労省は
「公認心理師試験を受験するからには、災害時等の心理的支援についても勉強せよ(。-`ω-)」
とプレッシャーをかけている。
しょーがない、勉強してやるか…。(*´Д`)←どこから目線?
ということで、公認心理師試験ブループリントp16に書かれている“災害派遣精神医療チーム(DPAT)”を確認していきましょう。
問題
問題270 次の文章に当てはまるものを選びましょう。
自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの大規模災害等の後に被災者及び支援者に対して、被災地域の都道府県の派遣要請により被災地に入り、精神科医療及び精神保健活動の支援を行なうための専門的な精神医療チーム。
1.サイコロジカル・ファーストエイド 2.災害時派遣精神医療チーム 3.自衛隊
問題271 Aに当てはまるものを選びましょう。
(A)とは、災害派遣精神医療チームのことを指す。
1.PCAT 2.心のケアチーム 3.MMSE 4.DMAT 5.DPAT
問題272 災害派遣精神医療チームについて、AおよびBに当てはまるものを選びましょう。
チームの構成メンバーは、精神科医師、(A)、(B)の3名以上とされる。
1.看護師 2.薬剤師 3.業務調整員 4.調理員 5.事務職員
問題273 Aに当てはまるものを選びましょう。
(A)とは、被災地への経路を調べたり、情報収集、物品管理、連絡調整など、医療活動以外のロジスティック全般を担う。
1.業務調整員 2.精神科医師 3.警察 4.DPAT調整本部 5.保健師
問題274 業務調整員に当たる職種を全て選びましょう。
1.事務職員 2.心理職 3.医師 4.看護師 5.薬剤師
解答
問題270 解答
2.災害派遣精神医療チーム
問題271 解答
(A)ーDPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)
※解説:PCATは日本プライマリ・ケア連合学会災害医療支援チーム、DMAT(Disaster Medical Assisrtance team)は災害派遣医療チームを指す。MMSEは認知障害のスクリーニングテストの略。
問題272 解答
(A)ー1.看護師 (B)-3.業務調整員
問題273 解答
1.業務調整員
問題274 解答
1.事務職員、2.心理職、5.薬剤師
(出典:病院で働く心理職 野村れいか・日本評論社)
いかがでしょうか。
私は災害時の医療派遣チームって赤十字病院が派遣するものだけだと思っていたのですが、学会単位や組織単位でいろいろあるんですね~。
『病院で働く心理職(野村れいか、日本評論社)』によると、
「災害時の精神医療活動には、通常の診療に加え、DMAT(災害派遣医療チーム、Disaster Medical Assistance Team)等の多様な医療チーム、保健師チーム等との連携を含めた災害時精神保健医療のマネージメントに関する知見が必要であり、この活動を担うべく、専門的な技術・能力を有する災害派遣精神医療チームがDAPTである(DAPTマニュアルver.1.1、2015)」
とあります。
つまり、災害時版精神科専門病院、みたいな感じでしょうか。
また、注目すべきポイントは、自然災害だけでなく、航空機事故や列車事故など、大規模事故の支援に入る点だと思っています。
さて、そんなDPATの中で心理職が求められている仕事は、被災者(被害者)のカウンセリングだけ、と思っていたら大間違い。
心理職は薬剤師や事務員と同じく、“業務調整員”という立場です。
上記にもあるように、“情報収集”、“物品管理”、“連絡調整”などの雑務もやらなければなりません。
これについて、野村れいかさんはきっちり、著書の中で次のように釘を刺されています。
以下『病院で働く心理職(野村れいか、日本評論社、2017年)』より引用ーーーー
パソコン、電話対応、クロノロ、未決リストの作成など、現場で求められること、できることをさせて頂く。(中略)日頃の臨床現場での業務内容と異なるからといって、「それは心理士の仕事ではない」というスタンスはNGである。(p191)
衛星電話やトランシーバーの使い方を練習する、自県で発災した際の動きについて防災訓練を行う、サイコロジカルファーストエイドや災害支援に関する知識を学んでおくなど、普段から万が一に備えた準備が必要であろう。
災害時AEDやアンビューバックの使用、心臓マッサージなどの、最低限の救命措置はできることが求められる。心理職だからできない、は通用せず、医療チームの一員として求められることはできるように、練習しておくことが望ましい。(p192)
ーーーー以上、引用終わり。
はー、ごもっともです。
被災地において
「私は心理職だからカウンセリングや心理検査以外はしないの」
「AEDなんて使ったことない。どうすればいいかわかんないです」
なーんて言った日には、
「心理職つかえなーい」
「帰ってチョーだい」
と言われるに決まっています。
一応、精神医療専門、心理職とは言っても、命の危険に晒されている人を助けられるように、最低限の救命措置の訓練はしましょう、その他、自分で動けるよう、機材の使用方法も練習しましょう、ということですね。
(私の病院でも、心理職や事務員でも救命措置ができるよう、心臓マッサージやAEDの使い方の訓練を半年に1度受けます。病院内で意識不明の患者さんを見つけたときに、どの職種でも対応できるようにしています)
さらに、ここで公認心理師試験ブループリントp16にも載っていた“サイコロジカル・ファーストエイド”が出てくるんですね。
きちっと、時間があるとき、きちっとおさらいしておきましょう。
次に、DPATの具体的な仕事内容などを確認しましょう。
問題
問題275 A、Bに当てはまるものを選びましょう。
DPATの活動理念は、国・自治体の災害支援の一部として公的に活動=すべては(A)のために行なうというものであり、「それは自分の仕事ではない」「あれは自分がやった」という態度は(B)べきであり、すべては(A)のための活動であるとされる。
1.励行される 2.慎む 3.被災者 4.患者 5.自治体
問題276 次のDPATの活動原則を示す英語を選びましょう。
(A)ー名脇役であれ
(B)-積極的な情報共有
(C)-自己完結型の活動
1.Supply 2.Share 3.Self-analysis 4.Support 5.Self-sufficiency
問題277 A~Cに当てはまるものを選びましょう。
被災地での活動は、活動場所及び場所によって、①(A)、②(B)、③(C)と大きく3つに分けられる。
1.救助活動 2.DPAT調整本部 3.災害対策本部 4.現地活動 5.DPAT活動拠点本部
問題278 次の文章に当てはまるものを選びましょう。
統括者を中心に、被災地の状況を把握し、現地におけるDPAT活動を取りまとめ、適宜DMATや消防、自衛隊、警察など他チームとの連携、調整を行なう。
1.DPAT活動拠点本部 2.地域精神医療機関 3.DPAT調整本部 4.現地活動 5.PCAT
問題279 次の文章に当てはまるものを選びましょう。
現地隊の配置やスケジュール管理、あがってきた情報を整理し、適宜調整本部へ連絡・調整を行う。
1.DPAT調整本部 2.DMAT 3.応援保健師チーム 4.災害対策本部 5・DAPT活動拠点本部
問題280 次の文章に当てはまるものを選びましょう。
被害の大きかった病院に行き、被災状況を確認し、調整本部に報告する。個別面談をする。多団体とのミーティングに参加する。
1.災害対策本部 2.警察 3.DPAT調整本部 4.自衛隊 5.現地活動
解答
問題275 解答
(A)ー3.被災者 (B)-2.慎む
問題276 解答
(A)ー4.Support 名脇役であれ
(B)-2.Share 積極的な情報共有
(C)-5.Self-sufficiency 自己完結型の活動
※解説:3S(スリーエス)と呼ばれる
問題277 解答
(A)ー2.DPAT調整本部
(B)-5.DPAT活動拠点本部
(C)-4.現地活動
問題278 解答
3.DPAT調整本部
問題279 解答
現地隊の配置やスケジュール管理、あがってきた情報を整理し、適宜調整本部へ連絡・調整を行う。
5・DAPT活動拠点本部
問題280 解答
被害の大きかった病院に行き、被災状況を確認し、調整本部に報告する。個別面談をする。多団体とのミーティングに参加する。
5.現地活動
(出典:病院で働く心理職 野村れいか・日本評論者)
いかがでしたでしょうか。
野村れいかさん(2017)はDPATについて、
「自分が所属する組織、支援システムを理解し、適宜報告、相談することは、平時の病院臨床の中で行っていることと共通している。相手の求めることを見立て(アセスメントする)、必要な支援を行うことは臨床と通ずるものである。組織の一員として、現場で求められていることに取り組み、専門性にこだわらず、多職種と連携する等、普段当たり前に行なっていることが災害時にも活かされると考える」(病院で働く心理職、日本評論社 p191)
と仰っています。
禿同です(∩´∀`)∩
普段から自分の専門性ばかりにこだわるのではなく、その場で何が求められているのか、自分に何ができるのか、ということを追求する姿勢が重要だと思っています。
野村れいかさんが書かれた『病院で働く心理職』(日本評論社、2017年)には、DPATの他に、アルコール依存症やがん治療など、公認心理師試験ブループリントに書かれているリエゾンの実際が書かれています。
また、医療領域で働く心理職へのアドバイスも書かれており、これからの心理職の在り方を非常によくまとめていると思います。
文章が平易なので理解しやすく、「これから医療領域で働きたいと思っている」「医療領域は詳しくないで勉強したい」という心理士さんに広くおススメできると思っています。
これを機会に、医療領域の活動も知ってしまいましょう~(´ω`*)
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