心理学試験のための問題と資料

公認心理師試験をはじめとした、心理学試験のために作成した問題をのせています。問題は専門書から一部抜粋し変更して作成しています。お役に立てると嬉しいです。

少年事件の流れのおさらい

 

 

 

一昨日、NHKで少年事件の報道があったので、少年事件の流れについておさらいしてみましょう。

 

以下、NHKニュース(

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180323/k10011376771000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_023

)より引用-------

 

 

 

高齢女性強盗殺人事件 残る3人目の少年を家裁に送致 千葉 茂原

千葉県茂原市の住宅で1人暮らしの85歳の女性を殺害したとして少年3人が強盗殺人などの疑いで逮捕された事件で、千葉地方検察庁は、23日、18歳の少年を家庭裁判所に送りました。

 

先月26日、千葉県茂原市の住宅で、1人で暮らしていた椎野芳子さん(当時85)が死亡しているのが見つかり、17歳から18歳の少年3人が、強盗目的で住宅に侵入し暴行を加えて殺害したとして、強盗殺人などの疑いで逮捕されました。

千葉地方検察庁は3人のうち17歳と18歳の2人を今月20日に千葉家庭裁判所に送ったのに続いて、残りの18歳の少年についても勾留期限の23日、家庭裁判所に送りました。

千葉家庭裁判所は、来月5日まで2週間の観護措置として生育状況などを詳しく調べ、刑事処分が相当と判断すれば検察庁に送り返すことになります。

 

引用終わりーーーーーーーー

 

 

この事件では加害者は3人とも17~18歳です。

公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版]トp104にも書いてある通り、少年法でいう少年は“満20歳未満”ですので、3人とも少年法が適用されることになったのだと考えられます。

 

少年法の目的は“少年の健全な育成を期”すこと、そして“保護が目的”です(公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版] 金剛出版・p104)。警察や検察庁でこの事件を捜査した結果、非行事実があると認められたので、3人とも家庭裁判所に送致されたのでしょう。非行事実があった場合には、軽微な犯罪だったとしても、“全件送致主義”に基づいて家庭裁判所に送致されたのだと推測されます。

 

さて、報道では千葉家庭裁判所は、少年に“4月5日まで2週間の観護措置”にする、という決定を下したようです。

 

公認心理師現任者講習会テキストには、「心身の鑑別の必要性がある場合は少年を少年鑑別所に収容するという観護措置を執ることができる」と書いてあります。ですので、加害少年たちはこれから少年鑑別所に送られ、生育歴やその他、知的能力、性格傾向、経済状態などを調査されることになると考えられます。まだ、公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版]・p105にある図1・少年事件処理系統図の“調査”の段階にあり、まだ最終的な処分ではないことがわかります。

 

図に従うと、この後審判が開かれ、何らかの処分が下されるはずです。審理されるのは“非行事実”と“要保護性”です。

最終的には①保護処分(保護観察所による保護観察処分、児童自立支援施設等送致、少年院送致)、②審判不開始、③不処分、④児童相談所長送致、⑤検察官送致、のいずれかの処分が下されると考えられます。

 

しかし、今回の事件で加害少年たちは被害者を殺害しています。

 

公認心理師現任者講習会テキスト[2018年版]・p104に“少年が16歳以上であり、故意に被害者を死亡させた場合は原則として事件を検察官に送致する原則検察官送致制度がある”と書かれていることから、観護措置の後、少年たちの故意が明らかになった場合は検察官に送致され、成人の刑事事件と同じように公開裁判が行われる可能性があることも考えられます。

 

ちなみに、彼らは“強盗殺人”という事件を起こしたので、事実が決定すれば、少年法では犯罪少年(14歳以上20歳未満で罪を犯した少年)になるのかもしれません。

 

家庭裁判所など司法関係にいないとわかりにくい少年事件ですが、一つ一つ事例を追いながら流れを確認する必要があるのかもしれません。

また、クライアントの関係者が少年事件に関わる可能性があるので(加害者の立場、被害者の立場、家族の立場など)、こうした流れを説明できるようになると見通しを立てやすくなると思います。児童相談所も関わるので、児童福祉のことも確認する必要がありますね。